突然ですが、皆さんの中には、今までふるさと納税を一度もしたことがないという方はいますか。
筆者は、ふるさと納税歴数年のヘビーユーザーですが、誰でも簡単にできてメリットが盛りだくさんのふるさと納税の魅力を伝えるためこのコラムを執筆しました。
一度でもやってしまえば簡単ですが、文字面だけでは理解しにくい領域なので、できる限り分かりやすく図解していきます。
目次
1.ふるさと納税とは
①概要
初めに、ふるさと納税について簡単にご紹介いたします。
ふるさと納税とは、自分の生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域や、これから応援したい地域の力になりたいという思いを実現し、「ふるさと」へ貢献するための制度です(総務省より)。
自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除されます(一定の上限はあります。)。
具体的には、次のようなイメージです。
◆納税した50,000円のうち48,000円は、自分が払わなければいけない所得税や住民税から控除されます(=自己負担2,000円)。
◆蟹やお肉、お米などの特産品15,000円分相当(以下)の返礼品がもらえます。
📍どうして返礼品は3割以内?
実は、2019年の6月まで、返礼品の金額の上限はありませんでした。
しかし、ふるさと納税の利用者が増え市場が拡大し、各自治体が利用者の獲得競争をするようになりました。
自治体の中には、寄附者を多く募るため、旅行券やAmazonギフト券など地元の特産品とは呼べないようなものを返礼品にしたり、寄附金額の8割を返礼品とするような自治体が現れました。
”自分の生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域や、これから応援したい地域の力になりたいという思いを実現し、「ふるさと」へ貢献する”という本来の目的とは異なった状態となってしまったため、改正されることになりました。
また、ふるさと納税は、厳密には節税対策ではありません。
寄附金税制を活用した、寄附とそれに伴う税の軽減を組み合わせたものです。
もしあなたの周りにふるさと納税を節税対策だと思っている人がいたら、厳密には節税対策ではないことを教えてあげてくださいね。
「お世話になった地域や、これから応援したい地域が複数ある場合、複数の自治体にふるさと納税を行えるのだろうか?」といった疑問を持った方もいらっしゃるかと思います。
通常、ふるさと納税を行うことができる自治体の数には制限はありません。
ただし、”【例外】ふるさと納税ワンストップ特例とは”で後述する、特例を適用する場合は、5団体以内の自治体数にふるさと納税をする必要があります。
また、寄附金控除を受けられる金額(これを超えると自己負担になってしまう!)には、寄附をした人の年収に応じて上限があるので注意が必要です。
ふるさと納税を行うことができる時期は決まっていないので、1月から12月までいつでも行うことができます。
そして自己負担となる2,000円は、1年間の寄附金総額に対して必要となるもので、1回ごとの寄附について必要となるものではありません。
⚠️専業主婦がふるさと納税するときの注意点
もし、あなたがパートやアルバイト、副業をしていない専業主婦だという場合には注意が必要です。
支払った所得税と翌年の住民税が減額される制度なので、控除対象となる所得税や住民税が発生しない専業主婦の名義ではこの制度の恩恵を受けることはできません。
そのため、ふるさと納税は所得のある配偶者の名義で行う必要があります!
②メリット
ふるさと納税についての概要は、大体理解できたと思います。
次に、改めてふるさと納税の制度を利用するメリットを3つご紹介します。
⑴返礼品
最大で寄付金の3割相当の返礼品がもらえます。返礼品はお肉、お魚、果物、お野菜、お菓子など地場産品です。
⑵ポイント
クレジットカードで支払いをすることで特定サイトのポイント(ex 楽天ポイント)が付きます。例えば、100円で1ポイント貯まるサイトで30,000円の寄付金をする場合、300円分のポイントを貯めることができるのです。
⑶寄付金の使用目的
教育、子育て、健康、観光など寄付金の使い道を自分で選ぶことができます。
所得税や住民税として支払う金額だったもので、返礼品をもらえて、ポイントも付き、寄付までできるとは、ふるさと納税恐るべし。お得過ぎますよね。
③デメリット
こんなに良いことづくめのふるさと納税ですが、実はデメリットもあります。
それはふるさと納税ができる金額に上限があることです。
上限額はこちらで計算できます。
上限額を超えてしまった場合、所得税や住民税から控除されない自己負担金額が一気に増加してしまうので気をつける必要があります。
自己負担金額は家族構成や本人の給与年収をもとに計算されます。
例えば、年収450万円の給与所得者の方で扶養家族や配偶者がいない場合、52,000円が上限となります。寄付金が52,000円以下であれば自己負担金額は2,000円ですが、それを超えると負担しなければいけない金額が2,000円を超えてしまいます。
翌年の所得税や住民税から控除される金額を増やそうとしたのに、結果的に自己負担金額が増えてしまってはもったいないです。注意が必要です。
2.ふるさと納税の方法
①ふるさと納税サイトを決める
返礼品は各自治体のHPに掲載されていることもありますが、1つ1つチェックするのが大変だと思います。
そのような手間を省いて簡単にネットショッピングができるサイトが、ふるさと納税サイトです。
ふるさと納税の市場拡大に伴い、色々なふるさと納税サイトがあります。
これらは、掲載している自治体や返礼品が異なったり、ポイント還元の仕組みが異なったり、支払手段が異なったりするので、ご自身に合ったサイトを決めましょう。
②返礼品を決める
次に返礼品を決めましょう。
ふるさと納税サイトではどこの自治体に寄付する場合でも、返礼品の金額ではなく寄付金額が表示されているので寄付金額の上限を超えないようにすることが可能です。
自治体によって、お米やお肉、魚介類といった食品のみならずファッションや旅行など幅広いジャンルの返礼品があるので、迷ってしまうと思います。
選ぶのが楽しくて、気がついたら上限額を超えてしまっていた、ようなことにならないよう気をつけましょう。
📍自分の住む自治体への寄付
返礼品を決めるときの注意点は、自分の住む自治体への寄付をしていないかどうかです。
住民票登録のある自治体へふるさと納税をした場合でも、寄附控除の申請をすることで、控除上限額内であれば、控除の対象となります。
ただし、自治体によっては、ふるさと納税の寄附や寄付控除は受け付けるが、返礼品はもらえないなどの規定があります。
6月に届く「住民税決定通知書」に記載の自治体には原則、返礼品は希望できないので注意しましょう。
(例)神奈川県横浜市に住民票がある場合は、「神奈川県」と「横浜市」以外なら返礼品を希望できます。
※各自治体によって対応は異なるので、現住所の自治体に問い合わせることをおすすめします。
※感謝状等、経済的な所得と見なされないものは希望できる場合もございます。
※住民票登録のある自治体以外であれば、返礼品を希望できます。
③控除手続きを行う
ふるさと納税サイトでポチッと寄付をした後、返礼品をもらっただけで満足してしまってはいけません。
確定申告書に「必要事項を」記入する必要があります。
この記入を漏らしてしまうと、税額控除を受けることができず、ただ気前良く寄付を行っただけになってしまいます。
今回は確定申告書Aを元に、具体的な記入の方法を見ていきましょう。
一見煩わしい手続きが必要なように感じている方もいるかと思いますが、確定申告書にたった3ヶ所記入するだけで手続きは終わります。
確定申告Aでふるさと納税を申告するには、★マークのついた青枠部分3ヶ所に記入する必要があります。
左右のページごとにより詳細に記載すべき事項を見ていきましょう。
【左ページ】
寄附金控除㉔欄には、寄付金額-自己負担額を記入する必要があります。
例えば、ふるさと納税で30,000円寄付を行った場合…
寄附金控除には30,000-2,000=28,000を記入することになります。
【右ページ】
寄附金控除に関する事項(㉔)の欄には寄附先から 送られた受領書に基づき、 ふるさと納税先の所在地・名称・ふるさと納税 (寄附)金額を記入する必要があります。
例えば、ふるさと納税で〇〇県〇〇町に30,000円寄付を行った場合…
寄付先の名称等には〇〇県〇〇町を、寄付金には30,000を記入することになります。
住民税に関する事項のうち『都道府県、市区町村への寄付(特別控除対象)』の欄には寄付金額総額を記入する必要があります。
例えば、ふるさと納税で30,000円寄付を行った場合…
都道府県、市区町村への寄付(特別控除対象)には30,000を記入することになります。
なお、確定申告をする時には、寄附金受領証明書または特定事業者の寄付証明XMLファイルを用意する必要があります。
寄附金受領証明書または特定事業者の寄付証明XMLファイルを受領した際は、確定申告に備えて大切に保管しておきましょう!
3.【例外】ワンストップ特例とは
①概要
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは、平成27年に創設された確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。
上述したように、確定申告はそれほど手間ではないのですが、確定申告をしたことのない人にとっては確定申告をすることはなかなかハードルが高いと思います。
なのでワンストップ特例は、ありがたい制度ですよね。
しかしワンストップ”特例”という名の通り、誰でも使える制度ではありません。
次の2つの条件を満たす人だけが使えます。
⑴もともと確定申告や住民税申告をする必要がない
⑵1年間の寄付先が5自治体以内
誰でも使える制度ではありませんが、⑴の条件は年収2,000万円未満のサラリーマンの多くに当てはまりますし、⑵の条件に当てはまらない人も比較的少ないため、意外に多くの人が利用できる制度であると言えます
また、具体的な手続きは次の3つのSTEPなっており、とても簡単です。
STEP1:ワンストップ特例申請書と各種書類を揃える(※それぞれ後述します)
STEP2:ワンストップ特例申請書に必要事項を記入する(※後述します)
STEP3:ワンストップ特例申請書と各種書類を寄付先の自治体に郵送する
次の章以降で、より具体的に見ていきましょう。
②ワンストップ特例申請書
まず、入手する方法です。
寄付先の自治体が送付してくれる場合にはそれを受け取れば良いですが、そうでない場合はフォーマットが各自治体ごとに異なるため、自分でダウンロードする必要があります。
入手した後は、申請書に記載する必要があります。
記載したことのない人にとっては、一見難しそうに見えるかもしれませんが、基本的には、住所、氏名、マイナンバー、生年月日、ふるさと納税の寄付に関する情報を記載していくだけです。
決して難しい書類ではありません。
下記が申請書の記入例です。
内容は非常に簡単ですよね。
しかも自治体によっては、このうち最下部の住所・氏名のみの記入で良いというところもあります。
対象者に当てはまる人は、積極的にワンストップ特例を使ってみてください。
③本人確認のための各種書類
本人確認のために、以下3つのどれかの各種書類を用意します。
⑴マイナンバーカード裏と表
⑵マイナンバー通知カードorマイナンバーの記載されている住民票
+運転免許証orパスポート
⑶マイナンバー通知カードorマイナンバーの記載されている住民票
+健康保険証or年金手帳or提出先自治体が認める公的書類の3つのうち2つ
マイナンバーカードがあれば、マイナンバーカードだけ用意すれば良いので簡単ですね。
マイナンバーカードを持っていないという方も、通知カードや住民票などで代替できるので安心してください。
④注意点
次の2点は特に注意するべきことです。
⑴確定申告をする場合、ワンストップ特例が無効になってしまうこと
「今年こそは、ワンストップ特例を活用しよう」と思い、ふるさと納税を行いきちんと自治体に申請書を提出をしたAさんという人がいたとします。
しかしAさんは、その年、何らかの理由で確定申告をする必要ができてしまいました。
Aさんは、翌年の確定申告でふるさと納税についての申告を特段行いませんでした。
Q:さて、Aさんには、ふるさと納税に関する税額控除が適用されるでしょうか?
A:適用されません。
ワンストップ特例は、確定申告をした場合、無効になってしまいます。Aさんはせっかくワンストップ納税を活用しようと自治体に申請書を提出したのにも関わらず、確定申告をしてしまったという理由で、ワンストップ特例は無効となってしまいました。寄附金控除を受ける場合には、確定申告で適切に申告を行う必要があります。
⑵確定申告と違うこと
手続きの期限が早いことです。
具体的には寄付をした各自治体に、翌年の1月10日必着で、上述した申請書と必要書類を郵送で提出しなければいけません。
※その他の細かい相違点は、次の表にまとめています。
気になる方は一度目を通しておくと良いと思います。
まとめ
いかがでしたか。
ふるさと納税は、誰にでもできるほど簡単で、寄附金控除制度を利用して所得税や住民税を軽減できるため、まだ一度もしたことがないという方には絶対におすすめです。
これを機に、ふるさと納税ライフを始めてみてはいかがでしょうか。
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経理の仕事は、伝票起票や経費精算など細かな日次業務が多く、全体像を見失いがちです。
その結果「何のためにこの業務をしているんだろう」とモチベーションの低下に繋がることもあります。
そのため、経理の仕事は特に、常に全体像を捉えながら進めていかなければなりません。
イメージとしては日々の仕事を「点」ではなく「線」として捉えること。
毎日の仕訳にしても、何となく取引金額を入力するのではなく、自社や取引先の財政状態や経営成績を念頭に置いたうえで入力することが大切です。
こうすることで、自社が取引先・借入先に対して、適切に支払いができるのか、あるいは取引先・貸付先から適切に入金が行われるのかを、仕訳と同時に予測できます。
極端な例ですが、こうした「意識的」な仕訳を繰り返すことで、会社の経営状況が見えてきて、黒字倒産を未然に防ぐといったことも。
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ふるさと納税に関してよくある質問
複数の自治体にふるさと納税はできますか?
ふるさと納税は複数の自治体に対して行うことができ、制限はありません。しかし、ワンストップ特例制度については、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限られるのでご注意ください。
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