領収書は、取引が行われたことを法的に証明するために必要となる書類です。
とくに、税務申告の際や経費精算の際に重要なため、領収書のもらいかたを十分に理解しておくことが大切です。
本記事では、領収書のもらい方を詳しく解説します。
領収書をもらう際のポイントや経費精算で利用する場合に重要となる項目についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも領収書とは
領収書とは、商品の購入やサービスの提供に対して支払いが行われたことを証明する公式な書類です。
領収書は、金銭が受け取られたこと、または一定の取引が完了したことを示す法的証拠として機能するものです。
通常、領収書は売り手またはサービス提供者によって発行され、買い手またはサービス受取人に提供されます。
領収書には、支払われた金額、支払いの日付、支払いを受け取った者の署名、支払いの目的など、取引の詳細が記載されています。
領収書は、会計と税務の両面で重要です。
企業にとって、領収書は経費の正当性を証明し、税務申告時に必要な経費計上の根拠となります。
また、個人が大きな購入やサービス契約をした際には、領収書が取引の証となり、後日、不一致や問題が発生した場合の解決に役立ちます。
2023年10月から始まったインボイス制度では、領収書の書き方や取り扱いに新たな規則が適用され、とくに事業者間での取引においてさらなる正確さと透明性が求められるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
領収書とレシートの違い
「領収書」と「レシート」は区別せずに扱われることがありますが、実際にはいくつかの重要な違いがあります。
レシートは、商品やサービスの購入時に店舗から消費者に提供される書類で、購入された商品のリスト、価格、購入日、店舗の情報などが印刷されています。
つまり、レシートは購入の証明として機能し、返品や交換の際に必要となるケースが多いものです。
一方、領収書は、支払いが完了したことを証明するより公式な文書であり、通常は支払いを受け取る側が作成します。
領収書には、支払った金額、支払いの目的、支払いを受け取った者の署名など、より詳細な取引情報が含まれ、法的な取引証明としての効力がより強いことが特徴です。
また、領収書は、税務目的や経理記録において、レシートよりも一般的に重要視されます。
とくにビジネス取引や大きな金額の取引では、領収書の発行が必須となるケースがほとんどです。
新たなインボイス制度の下では、適格請求書発行事業者の登録番号の記載が領収書に新たな要件として加わります。
これにより、領収書の重要性と、正しい取り扱いが一層強調されることになります。
領収書はどのような場合に受け取るべき?
領収書は、商品購入やサービス提供など、金銭のやり取りがともなう多くのシーンで受け取るべき重要な書類です。
ビジネスにおいては、会計記録を正確に保つため、また税務申告や内部監査において必要とされるため、とくに領収書の重要性が高まります。
企業間取引や顧客からの収入、社員が発生させた経費に関しても、明確な記録保持のために、領収書の受け取りが推奨されます。
個人消費者としても、特定の商品やサービスを購入した際、保証や返品、返金のための証明として、または自身の財政管理のために、領収書を受け取るほうが賢明です。
大きな買い物や契約サービス、医療費などの支払いに際しては、将来的にトラブルが発生した場合の証拠となるため、領収書の受け取りがとくに重要となります。
領収書をもらう目的
領収書を受け取る主要な目的は、取引が行われた証拠を文書として残すことにあります。
具体的には以下の通りです。
- 会計記録の正確性
企業や個人事業主は、財務諸表作成の際に取引の証拠として領収書を使います。領収書の金額をもとにして会計処理を行います。場合によっては会計監査で領収書の提出を求められることもあります。
- 税務上の義務
法律では、所得税の申告や経費の控除を適切に行うために、取引の記録を保持することが要求される場合があります。領収書は、所得税の申告や経費の控除の税務上の要件を満たすための証拠となります。
- 法的な保障
サービスの問題や契約に関する訴訟など、何らかの問題が発生した際に、領収書は行われた取引の詳細を証明するために重要な文書です
上記のような理由から、領収書を受け取り、適切に管理することは、事業の運営や個人の取引管理上、非常に重要であるといえるでしょう。
領収書のもらい方
領収書の取得方法は、取引の手段や取引相手によって異なることがあります。
領収書は、支払いの証明として法的な重要性を持つため、正しい形式で適切に受け取ることが重要です。
- 商品購入時に要求する
小売店やレストランなどの実店舗で直接購入する際、支払いを完了した直後に領収書が自動的に提供されます(店舗による)。
しかし、提供されない場合や電子領収書を希望する場合は、購入時または支払い時に店員に領収書の発行を要求する必要があります。
- オンライン購入の場合はダウンロードする
オンラインでの購入の場合、領収書は通常、購入確認としてメールで送信されるか、ウェブサイト上でダウンロードできる形式で提供されます。
メールでの領収書が届かない場合や、アカウントからアクセスできない場合は、販売者のカスタマーサポートに問い合わせて領収書を請求する必要があります。
- 企業間取引の場合は、取引先に発行を求める
B2B(ビジネス・ツー・ビジネス)の場合、領収書は通常、納品書や請求書とともに郵送されるか、電子的に送信されます。
正確な情報が記載された領収書を受け取るには、取引先に対して正しい請求先情報と連絡先情報を提供することが重要です。
領収書を受け取る方法は、事業者や状況によって異なるため、それぞれの場面での具体的な要件やルールを把握しておくことが重要です。
また、デジタル化が進むなか、電子領収書の利用が増えているため、電子フォーマットでの受領と保管方法についても知識を持っておく必要があります。
領収書は財務記録としての役割を果たすだけでなく、行われた取引の正確な証拠として機能するものなので、その重要性を理解しておくことが大切です。
経費精算に必要な領収書の項目6つ
経費精算を適切に処理するためには、領収書が特定の基本項目を含んでいることが不可欠です。
領収書の情報は、経費の正当性を証明し、会計および税務処理をスムーズに進めるために必要とされます。
以下では、領収書に必ず記載すべき6つの基本項目を説明します。
日付
領収書には、商品の購入またはサービスの提供が行われた正確な日付を記載する必要があります。
これは、経費が発生した会計期間を正確に反映するため、そして経理のタイムラインが一致していることを保証するために不可欠です。
宛名
宛名は、誰が費用を負担したかを示すもので、一般的には企業名や個人名が記載されます。
正確な宛名がなければ、経費の正当性や帳簿への記録が問われる可能性があります。
金額
支払われた正確な金額を領収書に明記する必要があります。
これは税金や割引後の最終的な支払額となることが一般的です。
正確な金額が記載されていないと、予算の不整合や財務報告の誤りが発生する可能性があります。
但し書き
領収書の「但し書き」は、支払われた代金が何のためのものかを具体的に示す重要な項目です。
但し書きは、「〇〇代として」といった形で表され、支払いの目的を明確にします。
適切な但し書きがなされていることは、領収書が正式な書類として認められるために不可欠であり、会計処理の正確さや税務調査時の信憑性を高めるためにも重要です。
しかし、但し書きのスペースは限られており、複数の商品やサービスに対する支払いを詳細に記載することは困難な場合があります。
そのため、代表的な商品名や最もコストが高いサービス名を記載し、「その他」と付け加える方法が推奨されます。
また、すべての購入品を網羅することは難しいため、レシートや明細書と一緒にこれらの情報を保存し、必要に応じて参照できるようにすることが重要です。
但し書きを記載する際の注意点としては、実際の取引内容を正確に反映させることが求められます。
不正確な情報や虚偽の記載は、法的な問題を引き起こす可能性があるため、絶対に避けるべきです。
また、但し書きは常に明瞭かつ具体的でなければならず、「お品代」という表現のみでは不十分で、経費計上が困難になることがあります。
具体的な品目、サービス、または使用用途の記載が、領収書の情報の透明性を高め、企業の財務管理と法的遵守に対する信頼性を強化することを認識しておくことが大切です。
発行者の情報
領収書には、発行者の名称、住所、連絡先情報、インボイス制度に対応した登録事業者であれば、登録番号などの領収書発行者の情報が必要です。
発行者の情報は、必要に応じて発行者に連絡を取るため、また発行者の正当性を確認するために重要となるものです。
金額に応じた収入印紙の貼り付け
特定の金額を超える取引に対しては、法律で収入印紙の貼付が求められる場合があります。
領収書に適切な額面の収入印紙が貼付されていることを確認し、法的要件を満たしていることを保証する必要があります。
領収書の記載金額 | 税額(収入印紙の金額) |
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超 200万円以下 | 400円 |
200万円超 300万円以下 | 600円 |
300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 |
なお、1,000万円以上である場合も、金額に応じて領収書には収入印紙の貼付が必要です。
領収書をもらう際のポイント
ビジネスの世界では、領収書は単に購入や支払いの証明ではなく、会計処理や税務申告、内部監査などにおいて重要な文書とされています。
そのため、領収書を受け取る際には、いくつかの重要なポイントを心にとどめておく必要があります。
宛名は正式名称で記載してもらう
領収書の宛名には、会社や団体の正式名称をしっかりと記載してもらうことが非常に重要です。
正式名称が用いられることで、公式な文書として認識され、信頼性や法的有効性が高まるからです。
とくに財務文書としての領収書は、企業の会計記録や税務申告、さらには経営の透明性を高めるためにも、会社や団体の正式名称をしっかりと記載することが極めて重要です。
正式名称が記載されていない領収書は、監査や再調査の際に妥当性が疑われる恐れがあります。
正式な領収書でないとみなされると、取引の正確性や企業の信用性に疑義が生じるためです。
さらに、正式名称の不一致は税務当局による追加の質問や調査を引き起こすリスクもはらんでおり、場合によっては法的な問題に発展することもあります。
そのため、事前に宛名の詳細を確認し、必要に応じて販売者やサービス提供者に対して正確な情報の提供を求めることが重要です。
但し書きの内容は正しく書く
「但し書き」は、領収書においてとくに重要な部分です。
但し書きは、支払いの目的や取引の詳細を明記するためのもので、領収書の正確さと完全性を保証する役割を果たします。
但し書きの内容は、商品の購入、サービスの利用、あるいは商品やサービスに関連する特定の条件や約束事を反映するものでなければなりません。
但し書きが不正確または不完全であると、領収書は不完全な文書と見なされる恐れがあります。
経理の正確性を損なうだけでなく、内部監査や外部監査の際に問題を引き起こしかねないため注意が必要です。
また、不明瞭または誤解を招くような内容は、将来的に法的な紛争の原因となることもあります。
したがって、領収書を受け取る際には、但し書きの内容が正確で、取引の実態を適切に反映していることを確認する必要があります。
領収書の受け取り時には内容を確認し、疑問点があればすぐに発行者に確認することが含まれます。
収入印紙の貼り忘れがないかチェックする
収入印紙は、取引の正式な証明としての役割を果たす重要な要素です。
日本では、一定の金額以上の取引には、収入印紙を領収書に貼付することが法律で要求されています。
そのため、領収書を受け取る際には、収入印紙が適切に貼られているか、金額が取引額にふさわしいかを必ず確認する必要があります。
収入印紙が不足していたり、添付されていなかったりする場合、領収書は法的に無効であると見なされる恐れがあります。
企業にとっては、コンプライアンス上の問題となり、税務調査の際に罰金や追加の税金を課されるリスクを孕んでいるので注意が必要です。
領収書のミスは企業の信頼性を損なうリスクもあり、ビジネス関係に影響を及ぼすこともあります。
したがって、領収書を受け取るすべてのステップで、関連する法律や規制を遵守していることを確認することは、企業が財務的な整合性を維持し、法的リスクを最小限に抑えるために不可欠です。
また、収入印紙の適切な管理は、企業の内部コントロールの一環としても重要であり、監査対策としても効果的です。
自社の経費精算ルールを確認しておく
経費精算は企業の財務管理における重要なプロセスであり、その取り扱いには細心の注意が必要です。
経費精算にあたっては会社のルールに則て処理することが必要となります。
自社の経費精算のルールには、許容される経費の種類、報告の方法、領収書の提出期限や形式、そしてデジタル領収書の受け入れポリシーなど、多岐にわたる要素が含まれているケースがほとんどです。
自社の経費精算ルールを十分に理解し、従って行動することは、経費報告の正確性を保証し、企業の財務報告の質を高めるために不可欠です。
不適切な経費報告は、会社に対する信頼を損ない、場合によっては法的な問題にもつながるため、経費精算プロセスのすべてのステップで企業の方針に従う必要があります。
経費精算のためのガイドラインや方針は内部監査やコンプライアンス部門を通じて定期的にレビューおよび更新されるケースがほとんどです。
従業員としては、これらの更新に常に注意を払い、自らの行動が常に現行の企業ポリシーに準拠していることを確認する責任があります。
領収書をもらい忘れた場合の対処法
領収書を受け取ることを忘れてしまったり、紛失したりした場合でも、領収書を取得する方法が幾つかありますので、完全に諦める必要はありません。
以下では、領収書がない場合の主な対処法をご紹介します。
- レシートで代用
通常、商品やサービスの購入時にはレシートが発行されます。レシートは領収書ほどの法的な効力はありませんが、購入した証として多くの場合において受け入れられます。
必要な情報(日付、金額、購入した商品やサービスの内容)が記載されていることが重要です。
- 購入証明書・支払い証明書の請求
領収書の再発行が難しい場合、購入証明書や支払い証明書を請求することも一つの方法です。購入証明書や支払い証明書は領収書と同等の力を持つ公的な証明書として、経費の証明に使うことができます。
ただし、場合によっては発行に費用がかかることもあります。
- 出金伝票に記入
レシートも領収書もない場合、自らが行った支払いの記録として出金伝票を作成することもできます。しかし、出金伝票を領収書の代わりとするには、税務署の反面調査で支払い事実が確認できるよう、詳細かつ正確な記入が必要です。
- カード明細で代用
クレジットカードやデビットカードで支払いをした場合、カード明細が支払いの証明として利用できます。カード明細には支払いの日付、金額、支払い先の情報が記載されており、領収書がない場合の有力な代替証明となり得ます。
どの方法を選択するにせよ、将来的に経費として計上する場合は、可能な限り詳細な情報を記録し、関連するすべての書類を丁寧に保管することが重要です。
領収証の紛失や忘れが発生した場合に備え、常に予防策を考え、適切な記録を残すよう努めましょう。
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まとめ
領収書は、税務申告や経費精算を行ううえで重要な意味をもつ書類です。
税務申告や経費精算を行ううえでは、一定の要件を満たした領収書をもらう必要があります。
とくに、インボイス制度が始まった2023年10月以降は、登録番号が記載されていない領収書をもらっても、領収書を活用できない可能性があるので注意が必要です。
また、企業の経費精算のために領収書をもらう必要がある場合には、企業の経費精算のルールを遵守することが大切です。
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したがって、領収書をもらう際には、要件を満たしているかを十分に確認しましょう。