企業にとって必要不可欠な仕事が経理です。
経理事務には専門的な知識が必要なので、専門的な知識や技能が欠かせません。
そのため経理部門で働いている方や、これから働く方の中には「専門的な知識がないから不安」「数字は苦手」「パソコンを使えない」などと業務をこなしていくことができるか不安に感じている方も多いのではないでしょうか?
経理の知識や技術は資格取得によって短期間でマスターできますし、収入アップにも繋がります。
また転職の際にも有利になるでしょう。
経理事務に役立つ資格について、経理に必要なスキルは何かという点から詳しく解説していきます。
目次
経理人材とは
経理人材とは会社における経理事務を司る人材です。
日々の会社の会計を処理して、会計情報をまとめて、経営陣に情報を伝えて、会社の経営に役立てる仕事をするのが経理人材です。
場合によっては給与計算や労働保険等の各種保険料の計算をしたり、取引先への督促や、銀行や会計事務所との打ち合わせを行うこともあります。
経理人材には次のような能力が求められます。
- 日々の経費の支出を仕訳する能力
- 仕訳した会計情報を決算書にまとめる能力
- 決算書を経営に役立つよう経営陣に伝える能力
経理人材として会社から求められる能力は会社によってさまざまです。
会社によっては簡単な仕訳ができる程度のスキルで業務ができる場合もありますが、仕訳し
た情報を決算書などに落とし込み、経営改善に寄与するように経理や会計全体を把握できる程度までの理解が求められる場合があります。
経理の業務は幅広く、会社によって業務内容がかなり異なるので、通常の簿記からパソコンの操作などの基本的な情報はもちろん、より専門性の高い知識があった方が会社から求められる人材になれるでしょう。
経理における事務業務とは
経理における事務業務には次のような業務内容が含まれます。
日々の売上管理 | 現金でいくら売り上げたのか、売掛金はいくらか、売掛先は期日通りに売上を振り込んでくれたのかなどを管理する。場合によっては売掛先に書面や電話などで請求することもある |
仕入れ管理 | 仕入れ先への支払いを記帳し、支払事務を行う。現金や手形や売掛金での支払いの手続きをする。 |
給与・保険の管理・計算 | 給与計算や社会保険料の計算を行い、給料等の支払いや記帳を行う |
税金の計算 | 法人税や固定資産税等の計算や支払い |
決算書作成 | 1年度分の会計情報をまとめて決算書を作成する業務も経理担当者が行う |
このように経理として求められる仕事は非常に幅広く、会社によってどこまでの仕事を求められるのかは異なります。
また、これらの業務の全てはパソコンを使って行うのが基本です。
経理担当者の業務とは、パソコンや通帳などと向き合い、銀行や会計事務所などとやりとりをすることが主な仕事となるでしょう。
経理担当者としてさまざまなフィールドで活躍したいのであれば、可能な限り多くのスキルを身につけておいた方がよいことは間違いありません。
事務業務に必要なスキル
事務業務に必要なスキルは主に次の3つです。
- コミュニケーションスキル
- パソコンのスキル
- 作業の正確さとスピード
事務の仕事に欠かすことができない3つのスキルについて詳しく解説していきます。
⑴コミュニケーションスキル
経理の業務には他人とのコミュニケーションスキルが求められます。
経理業務やパソコンと数字と向き合っていればよいだけではありません。
経理担当者は経費の精算に来る従業員が何にお金を使用したのか正確に把握しなければなりません。
また、取引先への督促や経営者や銀行や会計事務所との交渉を行う場合もあります。
経理担当者にコミュニケーションスキルがない会社は、経営者や従業員との風通しが悪くなるので雰囲気が悪化することもあります。
また、取引先や金融機関との関係が円滑でなければ、業務そのものや資金調達に悪影響が出る可能性もあるでしょう。
お金というのは会社の心臓部です。
だからこそ、経理担当者は経営者や従業員はもちろん、外部の人間とも円滑にコミュニケーションをとり、風通しのよい人間関係を構築していくことが求められます。
⑵パソコンのスキル
経理担当者にはパソコンのスキルは必要不可欠です。
日々の仕訳などはExcelや会計ソフトを使用するのが基本ですので、エクセルや基本的な操作を習得しなければなりません。
基本的な書類の作成や処理を正確かつ迅速に行わなければならないので、パソコンの基本的なスキルは絶対に必要な要素です。
さまざまなソフトを使いこなせるに越したことはないので、パソコンのスキルは幅広く身につけておきましょう。
⑶作業の正確さとスピード
経理業務は日々発生する業務です。
そして、会社によっては日次で収支や資金繰りを追いかけていることも多く、支払いも1日でも遅らせることができません。
そのため今日の仕事は今日終わらせるというのが原則です。
そして、1円でも請求金額や支払金額が異なると、会社の信用問題になります。
そのため、1円も間違いがないよう仕事の正確さも重要です。
経理担当者は、会計処理や支払いを迅速に完了させるスピードと、1円でも金額を間違えないための正確さの両方が求められます。
正確さとスピードを両立させるためにもPCの高いスキルはやはり必須だと言えるでしょう。
おすすめの資格ランキング
経理事務のスキルをさらに高めたい方におすすめの資格ベスト5は次の通りです。
- 第1位:MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- 第2位:日商PC
- 第3位:日商簿記
- 第4位:秘書検定
- 第5位:文書情報管理士
それぞれの資格の特徴やマスターできるスキルについて詳しくご紹介していきます。
第1位:MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)とはマイクロソフトOfficeの技術を習得していることを証明する資格です。
試験は次のソフトによって分かれており、自分が習得したいソフトだけを受験できます。
- Word
- Excel
- PowerPoint
- Access
- Outlook
さらにWordとExcelに関しては一般レベルの技術を習得していることを証明するスペシャリストと、経営管理のレベルまで習得できるエキスパートに分かれています。
経理担当者として一定以上のPCスキルを持っていると証明したいのであれば、WordとExcelのスペシャリスト資格の習得を目指すのがよいでしょう。
なお、パソコンの知識が何もない人でも、MOSは40時間から80時間程度の勉強で取得できると言われています。
第2位:日商PC
日商PCとは、各地の商工会議所が開催するパソコンスキルに関する資格です。
MOSの商工会議所バージョンのようなイメージです。
資格はスキルに応じて次の3つに分かれています。
- 文書作成:Wordを使用した文章作成スキル
- データ活用:エクセルを使用したデータやグラフ作成等のスキル
- プレゼン資料作成:PowerPointを使用したプレゼン資料作成スキル
習得したいソフトに応じて科目を選択しましょう。
なお、日商PCは1級〜3級に分かれていますが、経理担当者として転職や就職に活用できるのは2級以上と言われています。まずは2級取得を目指してください。
第3位:日商簿記
言わずと知れた、仕訳や決算書作成などの簿記の能力を証明する検定試験です。
年間60万人も受験すると言われる人気の資格で、簿記の知識があれば日常的な経理業務の大抵は理解できるでしょう。
3級は商業簿記のみが出題範囲ですが、2級では原価計算などを行う工業簿記も出題範囲に含まれます。
そのため、2級を取得しておいた方が幅広い業種で活用できます
小売店や卸売店や商社だけでなく、製造業や建設業などでも経理担当者として活躍したいのであれば、日商簿記2級の獲得を目指しましょう。
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経理業務は全体像がわかればもっと効率的に!
経理の仕事は、伝票起票や経費精算など細かな日次業務が多く、全体像を見失いがちです。
その結果「何のためにこの業務をしているんだろう」とモチベーションの低下に繋がることもあります。
そのため、経理の仕事は特に、常に全体像を捉えながら進めていかなければなりません。
イメージとしては日々の仕事を「点」ではなく「線」として捉えること。
毎日の仕訳にしても、何となく取引金額を入力するのではなく、自社や取引先の財政状態や経営成績を念頭に置いたうえで入力することが大切です。
こうすることで、自社が取引先・借入先に対して、適切に支払いができるのか、あるいは取引先・貸付先から適切に入金が行われるのかを、仕訳と同時に予測できます。
極端な例ですが、こうした「意識的」な仕訳を繰り返すことで、会社の経営状況が見えてきて、黒字倒産を未然に防ぐといったことも。
また、全体像を把握できていると、業務の優先順位を自ずとつけられるようになるので、仕事のスピードがぐっとあがっていきます。
簿記の学習などで体系的に経理の知識を身につけていくと、少しずつですが、確実に経理の全体像がつかめるようになってきます。
CPAラーニングで経理の「基本」から「応用」まで丸わかり!
CPAラーニングでは、無料で『簿記講座』や『実務講座』を受講することができます。
『実務講座』と一言で言っても、経理実務やインボイス制度を含んだ税務実務、財務実務、M&A実務、人事労務管理、Excel講座など多くの講座が存在します。
多くの業界で役に立つようなコンテンツとなっているため、学生から社会人の男女といった幅広い人材に利用されています。
なぜCPAラーニングで実務の「基本」から「応用」まで理解できるのか
実務のプロセスを「理解」する
CPAラーニングの講義では、受講者のみなさまが実務の要点を暗記するのではなく、理解できるように心がけています。
なぜなら、実務の要点を丸暗記するのではなく正しく理解することで、CPAラーニングの講義を通して学んだことを、自らの業務にも落とし込むことができるからです。
経理実務講座を例に挙げると、日次業務、月次業務、年次業務の流れをただ説明するだけではありません。
その業務をなぜそのタイミングで行うのか、その業務によってどの様な影響が会社にもたらされるのかという点についての説明に重きを置いています。
講師が公認会計士またはプロの実務家
CPAラーニングの講義は、公認会計士やプロの実務家などが担当しています。
公認会計士には、大手公認会計士資格スクール(CPA会計学院)の講師も含まれており、解説のわかりやすさには、定評があります。
また、プロの実務家の講師は、業界の最前線で活躍してきた方々なので、具体的な業務に結びつけた解説が「理解」の手助けとなります。
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第4位:秘書検定
コミュニケーションスキルや社会人としてのマナーなどを身につけたいのであれば、秘書検定がおすすめです。
秘書検定は秘書を目指す人に役立つだけでなく、次のようなスキルを身につけられるので社会人全員におすすめの資格だと言えます。
- 一般常識や基本的なビジネスマナー
- 電話対応や接客
- 仕事の優先順位のつけ方
- さまざまな場面での的確な判断力や対応力
- 上記の応用や瞬時の対応
秘書検定は秘書だけに求められる能力を身につけられるのではなく、社会人全員に求められる能力が試されます
特に経理担当者は経営者や社外の人とのコミュニケーション能力が求められる資格ですので、秘書検定で基本的なマナーなどを身につけておくとよいでしょう。
秘書検定は3級から1級までありますが、社会人や大学生を対象としている準1級を目指しましょう。
第5位:文書情報管理士
文書情報管理士とは、職場で扱う文書を電子的に管理したり閲覧する技術を証明する資格です。
最近は文書管理や保存はPDFファイルなどでデータとして管理するのが一般的になっています。
文書情報管理士の資格を取得することによって、会社の文章や図面やデータなどをPDFやマイクロフィルムによってデータ化する技術を身につけられます。
日頃から多くの文章と接する経理担当者には必要なスキルです。
文書情報管理士は2級、1級、上級と分かれていますが、基本的な情報管理の知識さえ身につけておけば業務には十分ですので2級取得を目指してみましょう。
転職時に有利に動くためには
転職の際などに、資格を取得しておくことによって次のメリットがあります。
- 年収アップ
- キャリアのオプション
資格を取得することによって、転職の際などにどんなメリットがあるのか詳しく解説していきます。
⑴年収アップ
資格を取得することで、転職時に有利な条件で雇用されて年収がアップする可能性があります。
厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査によると資格ごとの平均年収は次の通りです。
- 公認会計士:992万円
- 税理士:700~800万円
- 中小企業診断士:700~800万円
- 弁理士:700~760万円
- MR:660万円~700万円
- 社会保険労務士:600~700万円
- 一級建築士:550~650万円
- 宅地建物取引士:500~600万円
- FP技能士2級:300~600万円
上位2つの資格はお金と税務関連です。それだけ経理業務に関係する仕事は企業にとっても重宝される傾向があるので、保有する資格を会社がどれだけ高く評価してくれるのかによって転職する会社を選択するのがよいでしょう。
令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況
⑵キャリアのオプション
資格は自分に対する付加価値になります。
「〇〇会社で経理業務を10年間勤めた」よりも「〇〇会社で経理業務を10年間勤めた。その間に簿記とPCの資格を習得」の方が、「この人は経理やパソコンのスキルがあり、働いている間に資格を取得した勤勉な人だ」という付加価値がつきます。
また、会社の中でも資格を取得している方が出世できる可能性は高まるでしょう。
このように資格をキャリアのオプションとして、転職や出世の際に自分を売り出すツールとして利用できます。
まとめ
経理の業務は非常に幅広く、基本的な会計に対する知識からパソコンスキル、さらにはコミュニケーションスキルまで求められます。
そのため、幅広い知識やスキルを習得することで、企業にとっても必要不可欠な人材になることができ、転職や出世にも寄与するでしょう。
経理の資格は数週間〜数ヶ月程度で比較的取得が難しくないものが多くなっています。
経理担当者としてスキルアップを目指したい方は、資格取得を目指してみましょう。
CPAラーニングで経理を学ぼう
経理部に配属された方の中には、「経理業務っていまいち何をするのかわからない。」「経理について勉強したいけれど、教材選びが難しい」という悩みを抱えている方も少なくないと思います。
また、経理部ですでに働いている方の中には、「指示されたとおりに業務をこなしているだけで、自分の業務に意味が感じられない。」「もっと経理についての知識を身につけて、昇進したい。」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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経理事務に関してよくある質問
経理事務にはどのような業務がありますか?
経理事務には、日々の売上管理、仕入れ管理、給与・保険の管理・計算、税金の計算、決算書作成等があります。このように経理として求められる仕事は非常に幅広く、パソコンや通帳などと向き合い、銀行や会計事務所などとやりとりをすることが主な業務となります。
経理事務に必要なスキルはありますか?
事務業務に必要な主なスキルはコミュニケーションスキル、パソコンのスキル、作業の正確さとスピードの3つです。
経理事務のスキルを高めるためにおすすめの資格はありますか?
経理事務のスキルをさらに高めたい方におすすめの資格は、MOS、日商PC 、日商簿記 、秘書検定、文書情報管理士等があります。