経費削減とは?経費削減の具体例や注意すべきポイントを解説

コストカットの画像です

企業にとって売上の増加は利益の増加につながりうれしいものです。しかし、利益の向上には経費削減も重要視されています。

経費削減の目標が掲げられ、何から行ったらいいのか困っている人もいるのではないでしょうか。

日々の業務に追われ働き方改革が進んでいなかったり、管理体制が整っていなかったりすると、無駄な経費に気づかないこともあります。

また、売上の増加にともない、増える経費も存在します。

費用はかかっても、大きな利益を生み出しているものもあるため、安易に経費をカットすると経営状況を悪化させるリスクがあります。

正しい経費削減方法を、具体例や注意点も確認しながらくわしく解説します。

経費削減とは

経費削減とは、その名のとおり無駄な経費を削り、費用の発生を減らすことです。

費用の圧縮を行い、利益率を高める目的を持っています。

経費削減は、コストカットやコストダウンなどと呼ばれることもあります。

そもそも経費とは、事業活動を行うのにかかる費用のことです。

大きく分けると、オフィスの環境を整えるためのオフィスコスト、水道光熱費などのエネルギーコスト、給与や社内のシステム管理などのオペレーションコストに分類できます。

具体的には、出張の際の旅費交通費や接待にかかる交際費、備品の購入代、携帯電話やインターネット回線の使用料金などが経費に該当します。

ほかにも、人件費や事務所や店舗を借りている場合の家賃なども経費です。

経費節減という言葉もありますが、節減は削減とは意味が異なり、細かい費用の発生を抑えることが目的です。

たとえば、使用しない部屋の照明や空調設備を消したり、印刷の際に片面ではなく両面印刷、カラーを控えモノクロ印刷にしたり、不要な書面の裏面をメモ用として再利用するなどが経費節減にあたります。

似ている言葉ですが節減は一般家庭でもできる節約のイメージで、削減はさらに進んだ抜本的な改革を行い利益率の向上を目指す取り組みです。

経費削減の必要性

企業が経費削減を行う最大の理由は、利益の増加です。

最終的な利益である営業利益は、売上総利益から経費を差し引いた金額を指します。

利益を上げるには売上を増加させることも大切です。

しかし、売上を増加する際に仕入コストが抑えられない場合は、利益を確保するために商品価格を上げなくてはならないこともあります。

価格が上がることで顧客が離れていく可能性もあり、安易に商品価格を上げるのは利益向上につながるとはいえません。

そこで、経費削減を行う必要があります。

ただし、売上を増やすために必要な経費を削ってしまうのはよくありません。また、単純に金額が大きい費用をカットするのもNGです。

さまざまな視点から無駄な業務や費用を見極めていくことが重要なポイントになります。

経費削減の具体例

経費削減といわれても、具体的に何から始めたらいいのかわからない人も多いでしょう。

何を始めたらいいのか悩んでいるうちにも、経費はかかっています。

まずは、比較的取り組みやすい経費削減の方法をご紹介します。

事務経費や消耗品代

複合機はリサイクルトナーを使用したり、オフィスの備品は中古も活用したりすると経費削減につながります。

また、専門的な業務を外部に委託していると、業務委託費などの経費が多くかかっている可能性が考えられます。

たとえば、経理代行を利用している場合、さまざまな依頼をしているため月額費用が嵩み、人件費よりも経費が高くなっているケースなどです。

アウトソーシングは、人件費削減につながるなどさまざまなメリットがあります。しかし、社内の人材が育たないデメリットもあるので活用方法を見直しましょう。

消耗品代を削減するには、ペーパーレス化がおすすめです。契約書や請求書などの電子化を検討しましょう。

一時的にシステムの導入費などはかかりますが、大きな経費削減効果が期待できます。

また、文房具などの細かい消耗品の管理を行うことで、会社備品の私物化、使い過ぎを防止できます。

備品を使用する際は、持ち出しリストに記入するなどのルールを設けるといいでしょう。

通信費・光熱費

通信費や光熱費は、経費削減がしやすい項目です。

大切な連絡ツールである電話やメールですが通信費がかかります。SNSやチャットを活用する工夫をしましょう。

また、社外向けに送付している郵便物などは、メールやSMSなどのお知らせに切り替えると、印刷代・用紙代・切手代の節約につながります。

光熱費はクールビズやウォームビスを取り入れ空調の使用方法の見直し、照明設備のLED化、パソコンの省エネ設定などで電力の消費量を抑えましょう。

事務所家賃

固定費として毎月発生する事務所の家賃は、負担が大きい経費の一つです。

在宅勤務の普及により、1日に出社する従業員の数は減少している会社も多いのではないでしょうか。

そのようなときは全員のデスクを確保するよりも、フリーアドレス化などを行い、オフィス規模を削減するといいでしょう。オフィスの立地なども検討し、家賃が低い地域へ移転するのもおすすめです。

また、働き方の見直しを行うことで、労働時間を削減し残業時間の減少、オフィスの使用時間を減らすことも経費削減につながります。

経費削減する際の注意すべきポイント

利益の向上にもつながる経費削減ですが、やってはいけない取り組みもあります。

代表的なものは商品やサービスの品質低下、人員削減や賃金カット、研究開発費や人材育成費用の大幅なカットです。

このような行為は、会社の経営に思わぬ悪影響を及ぼします。

経費削減をする際に注意すべきポイントを具体的に確認しましょう。

商品やサービスの品質低下

商品に使用する原料を安いものに変える、サービスを行う従業員の教育費を削る、ポイントカードなど顧客サービスの実施終了は、経費の削減にはなります。

しかし、品質が低下すると顧客が離れ、売上が落ちてしまう恐れがあります。

著しい品質低下は悪影響となるため注意しましょう。

従業員のモチベーション低下

たくさんの業務を与えているにもかかわらず残業時間を過度に制限したり、事務所家賃の削減のために通勤が不便な事務所に移転したりすると、従業員のモチベーションが低下します。

従業員のストレス増加につながる経費削減は、大切な人材を失うことにもなるので気をつけましょう。

自社の信用低下

商品やサービスの品質低下は、顧客からの信用を失います。一度離れてしまうと、なかなか戻ってきてはくれません。

また、業務に必要なツールのグレードを落とすと、ビジネスチャンスを逃す可能性もあります。

経費削減のために働き方改革の方向性を間違うと、従業員も不信感を抱きます。離職率の上昇にもなるので注意してください。

中小企業におすすめの経費削減の例

大企業は独自の業務システムを取り入れている会社も多く、経費削減のために一時的に費用が増えても対応できますが、中小企業は経費削減を行いたくても大きく動けないこともあります。

中小企業にも取り入れやすい経費削減の具体例をご紹介します。

IT化の促進

経理業務や業績管理のIT化は、人件費や消耗品代、事務所家賃の削減につながります。

独自の業務システムは、運用までに時間を要し、一時的に大きな費用がかかるため導入が難しい企業も珍しくありません。

経理業務の場合、独自の業務システムを導入する費用がない場合は、経理代行に依頼するのも一つの方法です。

また、紙での保存をやめペーパーレス化を徹底すると、情報共有がしやすくなるだけではなく、紙代や印刷代が節約でき、紙の保管に必要だった場所の確保も不要となります。

サーバーの仮想化

サーバーの仮想化を行い、台数を減らすとサーバーを管理する場所の確保や保守をする人員などの維持管理費を削減できます。

老朽化した際もサーバーを仮想化すれば、再構築の必要はなくなります。

経費削減案の書き方

経費削減に取り組むには、具体的に書き出し見える化を行い、社員一人一人の意識が重要です。

まずは、経費全体を見直し、必要なものと不要なものを洗い出しましょう。

不要なものがわかったら、具体的にどのくらい経費の削減効果があるのか試算を行います。

経費削減に取り組む順番は、安易にできて削減効果が大きいものが最優先です。

その後、安易にできるが削減効果は少ないもの、作業工程は多いが削減効果が大きいものの順で進めていくといいでしょう。

必要な項目

経費削減案を書くときは勘定科目ではなく、より具体的な項目で書き出し検討しましょう。

たとえば光熱費といっても、電気・ガス・水道など細かい項目があります。

旅費交通費も通勤代と出張旅費を分ける、交際費は飲食代、手土産や商品券などの贈答用費用などと細かく区別するといいでしょう。

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極端な例ですが、こうした「意識的」な仕訳を繰り返すことで、会社の経営状況が見えてきて、黒字倒産を未然に防ぐといったことも。

また、全体像を把握できていると、業務の優先順位を自ずとつけられるようになるので、仕事のスピードがぐっとあがっていきます。

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まとめ

できるだけ多くの利益を生み出すには、売上の向上だけではなく、経費削減も重要なポイントです。

ただし、闇雲に経費削減を行うと顧客離れや従業員のモチベーションの低下を招くことがあり、経営状況を悪化する恐れもあるため、注意しなくてはなりません。

本当に無駄なものを見極めていくことが大切です。

難しく考えすぎて何もしないままでは、いつまでたっても経費削減はできないため、まずは光熱費や通信費の削減など、比較的簡単にできるところから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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