勘定科目内訳明細書とは、貸借対照表や損益計算書で使われている勘定科目の詳細を示すために法人税申告書の添付書類として提出が義務付けられている書類です。投資家に公開されているわけではないものの、税務調査などにおいて重要となる書類として位置づけられています。
本記事では勘定科目内訳明細書の作成方法と注意点について、全16項目を詳しく解説していきます。
目次
勘定科目内訳明細書とは
勘定科目内訳明細書とは、法人税法施行規則第35条3号で提出が義務付けられている書類の一つで、貸借対照表や損益計算書で使われている勘定科目について、詳細(内訳)を示すためのものです。
2023年6月30日付で国税庁より公表された「法人課税関係の申請、届出などの様式の制定について」の一部改正について」(法令解釈通達)で、令和6年(2023年)3月1日以後終了する事業年度では、様式が変更されることが予定されています。
この変更では、インボイス登録番号、もしくは法人番号を記載する箇所が設けられるだけで基本的な様式について変更はありません。
以下では、勘定科目内訳明細書の記載内容を説明します。
出典:国税庁ホームページ(法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
記載する内容
勘定科目内訳明細書は、勘定科目の内訳を示すための書類であるものの、すべての勘定科目に対して内訳を示す必要はありません。以下のように指定された16種類の勘定科目についてのみ、内訳を示すことが求められています。
資産 | 預貯金など、受取手形、売掛金、仮払金、貸付金(受取利息)、棚卸資産、有価証券、固定資産 |
負債 | 支払手形、買掛金、仮受金・預り金、借入金(支払利息) |
損益 | 土地売上など、役員報酬及び人件費、地代家賃、雑益・雑損失など |
なお、勘定科目内訳明細書は、決算日から2か月以内に、住所地の税務署へ提出しなければなりません。税務署は、企業が提出した書類が実際の業績に基づいて適切に作成されているかを判断するために、勘定科目内訳明細書の確認を行います。
勘定科目内訳明細書は、通常、提出企業の経理部門が作成するのが普通です。会計事務所や税理士法人が業務を代行する場合もあります。ただし、勘定科目内訳明細書を含め、税務書類の作成代行業務は、税理士だけが実施できる認可された仕事である点に注意してください。
平成30年度の税制改正で簡素化された
勘定科目内訳明細書は、平成30年度の税制改正で簡素化されました。2019年(平成31年)4月1日以後に終了する事業年度からは、法人税申告書に添付する勘定科目内訳明細書は、簡素化されたものを利用するようになっています。以下が改正のポイントです。
- 記載内容の見直し
- 記載単位の柔軟化
- 記載項目の削除など
以下では、勘定科目内訳明細書の簡素化された内容について解説していきます。
簡素化された事項
以下の各項目に関する変更が行われています。
- 仮払金(前渡金)と仮受金(前受金、預り金)
「取引の内容」の表記が「摘要」に変わり、より自由に記述できるようになっています。
- 貸付金と受取利息(借入金と支払利息)
「貸付理由(借入理由)」の部分が取り除かれます。
- 棚卸資産
期末棚卸の方法の欄がなくなります。
- 事業所ごとの売上高など
使用建物の延面積の欄の記載が不要になります。
- 雑益と雑損失
土地の売却損益が固定資産(土地や土地に存在する権利など)の内訳書に書かれている場合、省略してもよくなります。
参考:国税庁ホームページを参考に筆者が作成
具体的な内容
次に、勘定科目内訳明細書で変更となった事項を具体的に解説していきましょう。改正によって、記載省略基準の柔軟化と記載単位の柔軟化が行われています。
勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化は、次の手順で考えていきます。
- 記載すべき件数は100件超か?(判断は個社数)
- Yes の場合は2.へ
- Noの場合は、簡素化せず、従来どおりに記載を行います。
- 記載省略基準を柔軟化するか? Yes or No
- Yes の場合は、上位100件(個社別)の記載を行います。
- Noの場合は3.へ
- 記載単位を柔軟化するか? Yes or No
- Yes の場合は、支店、営業所別に記載を行います。
- Noの場合は、簡素化はせず、従来どおりに記載を行います。
参考:国税庁 を参考に筆者が作成
参考:国税庁 を参考に筆者が作成
取引金額の大きい上位100件までの記載になった
記載省略基準の柔軟化によって、売掛金や買掛金は、取引金額の大きい上位100位までの取引先を記載すればよいとされています。
以前は、売掛金や買掛金の詳細な内訳書を作成する際、対象となる取引先が100件を超えていても、すべての取引先の記載が必要でした。
しかし、新たな簡易化のルールによって、取引金額が大きい順に上位100位の取引先までを記載する形に変更されています。
支店や事業所ごとの合計額が記載できるようになった
一方、記載単位の柔軟化も行われており、勘定科目内訳明細書の記載単位を(取引などの)相手先としている勘定科目を対象として、支店、事業所別の合計金額を記載する方法が適用できるようになりました。
たとえば、基準額(たとえば、売掛金で50万円以上)が設定されている場合でも、支店や営業所別に記載を行う際には、その金額を全額記入して書類を完成させることが可能です。
勘定科目内訳明細書の書き方
勘定科目内訳明細書は、国税庁のホームページよりダウンロード可能です。
近年では、会計ソフトの機能が高度化していることから、国税庁のホームページでダウンロードしたものを利用せず、会計ソフトの機能を利用して作成しているケースが大半です。
参考:国税庁の https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf2/h020-2.pdf
勘定科目内訳明細書を作成する際の注意点
勘定科目内訳明細書は、16種類の勘定科目の内訳を示す必要があります。以下では、それぞれの勘定科目の注意点を解説していきます。
参考:国税庁
預貯金などの内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
預貯金などの内訳書は、保有している預貯金の内訳を表示するための書類です。金融機関名・支店名・種類・口座番号・期末現在高・適用を記載します。
取引金融機関別に、かつ、預貯金の種類別に記載しなければなりません。
もし記載する口数が100口を超過する場合、期末の現在高が大きいものから上位100口分の記入だけで問題ありません。預貯金などの名義人が法人の代表者であり、法人名と異なる場合には、「摘要」の部分に「名義人○○○○」として、名義人の名前を明記してください。
受取手形の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
受取手形の内訳書には、保有している受取手形の内訳を表示するための書類です。
振出人、振出年月日、支払期日、支払銀行(名称・支店名)、金額、割引銀行名及び支店名など、適用を記載しなければなりません。
もし、受取手形の総額が100万円以上のものがあれば、取引先ごとに分けて記入します(100万円以上のものが5口未満の場合、期末現在高が高いものから5口まで)。100万円未満のものは一括で記入し、割引手形は割引銀行ごとに別々に記入します。
記載すべき口数が100口を超える場合には、以下の方法1.または2.の方法で記入可能です。
- 高額なものから100口分を記入し、100口目には100万円未満の残額を全部一括で記入します。
- 自社の支店や事業所ごとに金額を記入し、「振出人」欄に支店・事業所の名称、そして「金額」欄にその支店・事業所の合計金額(100万円未満を含む)を記入します。
方法2.を選択した場合、以下の1.2.3.の記入は省略可能です。
- 融通手形は別々に記入し、「摘要」欄に融通手形であることを明示します。
- 為替手形の場合、「摘要」欄に引受人の名前と住所を記入します。
- 差出人と債務者が異なる場合、「摘要」欄に債務者の名前と住所を記入します。
「割引銀行名及び支店名など」欄には、割引手形の銀行名と支店名、または裏書譲渡先の名前を記入します。
売掛金
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
売掛金(未収入金)の内訳書は、売掛金(未収入金)を相手先ごとに表示するための書類です。
- 「科目」の部分には、それが売掛金か未収入金かを明記します。
- 相手先ごとの期末現在高が50万円以上の場合には、相手先の箇所に個別に記入します(50万円以上のものが5口未満の場合、期末現在高が高いものから約5口まで)。50万円未満のものは、まとめて一つの項目として記入します。
- 2.の方法によって記入が100口を超える場合、以下の方法(1)または(2)を選んで記入可能です。
(1)期末現在高が高いものから100口分を記入し、100口目には50万円未満の残額をすべてまとめて記入します。
(2)期末現在高を自社の支店や事業所ごとに分けて記入します。この場合、「名称(氏名)」欄に支店や事業所の名前を、そして「期末現在高」欄にその支店や事業所の合計金額(50万円未満を含む)を記入します。
100口を超えるかどうかの判断は、売掛金と未収入金の合計で行います。
- 未収入金は「摘要」欄にその取引の内容を記入します。ただし、上記3の(2)の記載方法を使用する場合、この項目の記入は必須ではありません。
仮払金の内訳書・貸付金及び受取利息の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
仮払金(前渡金)の内訳書は、仮払金の期末残高について、取引先ごとに残高の詳細や相手先の情報を示すため作成する書類です。
- 「科目」の欄にはそれが「仮払金」なのか「前渡金」なのかを明示します。
- 各相手先に対する期末現在高が50万円以上の場合、それぞれ別々に記入します。
- 相手先が「役員」「株主」または「関係会社」であれば、期末現在高が50万円未満であっても、それぞれ別々に記入しなければなりません。
- 2.の手順で記入すべき口数が100口を超える場合、以下の方法(1)または(2)で記入が可能です。
(1)期末現在高が高いものから100口までを記入し、100口目には50万円未満の残額をすべてまとめて記入します。この場合、「役員」「株主」または「関係会社」のものも含め、合計で100口になるようにします。
(2)期末現在高を自社の支店や事業所ごとに分けて記入します。この場合、「名称(氏名)」欄に支店や事業所の名前を、「期末現在高」欄にその支店または事業所の合計金額(50万円未満を含む)を記入します。
- 100口を超えるかどうかの判断は、仮払金と前渡金の合計で行います。
- 「摘要」欄には、取引の内容を明示する情報、たとえば「機械設備の購入手付金」や「仮払税金」などを記入します。ただし、上記4.(2)の記載方法を使用する場合、この項目の記入は必須ではありません。
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
貸付金及び受取利息の内訳書は、取引先に対して支出した仮払金や、貸付金がある場合に、その内訳を明確にするために作成する書類です。
- 各貸付先に対する期末現在高が50万円以上の場合は、個別に詳細を記入します。50万円未満のものは、それらをまとめて一つに記入します。
- もし貸付先が「役員」「株主」または「関係会社」であれば、期末現在高が50万円未満であっても、それぞれを個別に詳細に記入します。さらに、期末現在高はゼロであっても、期中の受取利息額(未収利息含む)が3万円以上ある場合も、個別に記入が必要です。
- 1.の手順で記入すべき口数が100口を超える場合、以下の二つの方法のいずれかを選んで記入できます。
(1)期末現在高が高いものから順に100口までを記入します。この場合、100口目には50万円未満のものも含めて、その合計額を一括で記入します。もし「役員、株主、または関係会社のもの」、または「期中の受取利息額(未収利息含む)が3万円以上のもの」があれば、これらも100口に含めて記入します。
(2)期末現在高と期中の受取利息額を、自社の支店や事業所ごとに分けて記入します。この場合、各支店または事業所の名前を「名称(氏名)」欄に、それぞれの合計金額(50万円未満のものも含む)を「期末現在高」欄と「期中の受取利息額」欄に記入します。
- 「利率」欄には、同じ貸付先に対して複数の利率が存在する場合、期末に近い時期での受取利息の利率を記載します。
棚卸資産の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
棚卸資産(商品または製品、半製品、仕掛品、原材料、 貯蔵品)の内訳書は、保有している棚卸資産について、科目ごとその商品ごとの残高を詳細に示すために作成される書類です。
以下のポイントに注意しながら、それぞれの項目を記載していきます。
- 「科目」欄には、完成品、半製品、途中製品(中途の工事を含む)、素材、保管品、作業残り、副生成物などと記入します。もし記載する項目が100口を超える場合、期末の残高が大きいものから選んで100口分だけ記入して構いません。
- 「品目」欄では、「レディースシューズ」のように具体的に記入します。さらに細かく分けて書く必要はありません。
- 価値の再評価を実施した場合(商品評価損を計上する場合)、「摘要」欄に「評価損失△△△円」というように、評価変動額を明記してください。
有価証券の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
有価証券の内訳書とは、有価証券の明細として、科目ごと、銘柄ごとの残高明細を示すために作成される書類です。
以下のポイントに注意しながら作成します。
- 「区分・種類・銘柄」欄では、「取引用証券」「満期保持用証券」または「その他の証券」のいずれかとして、「取引」「満期」または「その他」と記入してください。記載する項目が100口を超えた場合、期末の残高が高額なものから選んで、もっとも上位の100口だけを記入しても問題ありません。
- 取引目的の証券は、「期末現在高」欄の上部に時価評価前の帳簿額を、下部に時価評価後の金額を記入してください。それ以外の証券は、下部に帳簿額を記載してください。「合計」欄には、下部の総額を記載します。
- 「期間中の増減明細」の各欄には、期末の残高がゼロでも、期間中に「売却」「購入」「増資払込」「評価換」などの取引があった場合、それを記入します。
- 証券会社を介して売却または購入を実施した場合、その証券会社の名前を「売却(購入)先の名前(氏名)」欄に記載します。
- 「摘要」欄には、もし関連会社からの証券である場合は、その事実を明記してください。
固定資産の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
固定資産の内訳書とは、会計期間中に取得した固定資産のうち、主として土地・建物に関してその残高と期中の変動を詳細に示すために作成される書類です。
固定資産の内訳書を作成する際のポイントは以下のとおりです。
- 「取得・処分活動の詳細」のそれぞれのセクションには、期末の残高がゼロであっても、期中に売却、購入、または評価の変更があった場合に記入してください。なお、記載する項目が100口を超過した場合、期末の残高が高い順に上位100口だけを記録しても問題ありません。
- 同じカテゴリまたは場所のアイテムに対して、複数の売却先または購入先が存在する場合、それぞれの売却先または購入先に分けて記入する必要があります。
- 外国の企業や非居住者から購入したアイテムに関しては、「売却(購入)先の所在地(住所)」欄にその海外の所在地(住所)を明記してください。
支払手形の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
支払手形の内訳書とは、自ら振り出した支払手形のうち、期末時点で決済していないものについて、残高と内訳を示すために作成される書類です。
以下のポイントに注意しながら作成します。
- 各取引先からの支払手形の合計が100万円以上である場合(ただし、100万円以上のものが5口未満の場合は、期末現在高の大きいものから約5口まで)、それぞれ個別に記録してください。100万円未満のものは、まとめて一つの項目として記入しても構いません。
- 上記1に基づく記載が100口を超過する場合、以下のいずれかの方法で記載しても問題ありません。
(1)金額が大きい順に100口まで個別に記入し、その際、100口目には100万円未満のものも含めて合計金額を記入します。
(2)自社の支店や事業所ごとに金額を分けて記載し、「支払先」欄にその支店や事業所の名称を記入。そして、「金額」欄には、その支店や事業所の合計金額(100万円未満のものも含む)を記入します。
- 融通手形は、個別に記入し、「摘要」欄に「融通手形」と明記してください。ただし、上記2.(2)の方法で記載する場合、この項目は省略しても問題ありません。
買掛金の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
買掛金(未払金・未払費用)の内訳書とは、買掛金・未払金・未払費用・長期未払金について、相手先別に期末残高などをまとめた書類です。
以下のポイントに注意しながら作成を行ってください。
- 「科目」の部分には、借方の各種科目(例:買掛金、未払金、未払費用)を明示します。
- 各取引先からの期末現在高が50万円以上である場合(ただし、50万円以上のものが5口未満の場合は、期末現在高の大きいものから約5口まで)、それぞれ個別に明細を記入してください。それ以外の小額なものは、合計して一つの項目として記入可能です。
- 上記2の基準で記載すべきデータが100口を超える場合には、以下のいずれかの方法で記載ができます。
(1)金額が大きい順に100口まで個別に記入し、その際、100口目には50万円未満のものも合わせた総額を記入します。
(2)自社の各支店や事業所ごとに期末現在高を分けて記載し、「名称(氏名)」欄に支店や事業所の名称を記入します。「期末現在高」欄には、支店や事業所の合計金額(50万円未満のものも含む)を記入します。
- 100口の基準は、買掛金、未払金、未払費用の合計で判断します。
- 未払金に関しては、「摘要」の部分に取引の内容を明記してください。ただし、上記3.(2)の方法で記載する場合は、この項目の記載は不要となります。
仮受金の内訳書・源泉所得税預り金の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
仮受金(前受金・預り金)の内訳書は、期末に残高のある仮受金や預り金の詳細を示すために作成される書類です。
作成時には、以下のポイントに注意します。
- 「科目」のセクションには、各金額が「仮受金」「前受金」または「預り金」のどれに該当するかを明確に記述してください。
- 期末現在高が50万円以上の取引先は、それぞれ別々に明細を記載します。
- 取引相手が「役員」「株主」または「関係会社」である場合、期末現在高が50万円未満でも、それぞれ個別に明細を記入してください。
- 上記2.の基準で記載すべきデータが100口を超える場合、以下のいずれかの方法で記載が可能です。
(1)期末現在高が大きい順に100口まで個別に記入し、100口目には50万円未満を含む残額すべてをまとめて記入。この際、「役員、株主、関係会社」に関する項目も100口内に含めてください。
(2)各支店や事業所ごとに期末現在高を分けて記載し、「名称(氏名)」欄に支店や事業所の名前を書き、「期末現在高」欄には支店や事業所の合計金額(50万円未満も含む)を記入します。
100口の基準は、仮受金、前受金、預り金の合計で判断します。
- 「摘要」の部分には、具体的な内容、たとえば「受注工事の前受金」や「源泉所得税預り金」などを記述してください。ただし、上記4.(2)の方法で記載する場合は、この項目の記載は不要となります。
- 社内預金に関しては、「相手先」欄に「社内預金」と明記し、「期末現在高」欄にその合計金額を、そして「摘要」欄に期中の支払利子額(未払利子も含む)をそれぞれ記入してください。
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
源泉所得税預り金の内訳の「所得の種類」の部分には、以下のように略記を使用してください。
- 給与所得は「給」と記載します。
- 退職所得は「退」と記載報酬や料金などの収入は「報」と記載します。
- 利子所得は「利」と記載します。
- 配当所得は「配」と記載します。
- 非居住者などからの所得は「非」と記載します。
借入金及び支払利子の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
借入金および支払利子の内訳書とは、期末に残高のある借入金に関して、借入先や発生した利息について記載をし、借入金に関する情報を明らかにするための書類です。
以下のポイントを押さえて、的確に記載事項を記入してください。
- 借入先ごとの期末の残高が50万円以上ある場合、それぞれ別々に詳細を記入してください。50万円未満のものはまとめて記載可能です。
- 借り入れ先が役員、株主、または関係会社である場合は、期末の残高が50万円未満でも、それぞれ明細として記入が必要です。期末の残高がなくとも、期中に3万円以上の支払利息(未払含む)が発生している場合も、個別に記載してください。
- 記載すべき口数が100口を超える場合には、次の(1)(2)の方法で記入しても問題ありません。
(1)期末現在高の大きいものから順に100口分だけを記入し、100口目には50万円未満のものを含めた残額をまとめて記入します。ただし、特別な条件(「借入先が役員、株主または関係会社」または「期中の支払利息額(未払含む)が3万円以上」)のものは、これを含めて100口として計算します。
(2)自社の支店や事業所ごとに、期末現在高と期中の支払利息額の合計を記入します。この場合、「名称(氏名)」欄には支店や事業所の名前を、対応する金額欄には合計金額を記載します。
- 「利率」欄には、同じ借入先に対して複数の利率が設定されている場合、期末に近い時点での支払利息の利率を記入してください。
- 借り入れ元が外国の法人または非居住者である場合、所在地(住所)欄には、その外国の住所を記載してください。
土地の売上高などの内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
土地の売上高などの内訳書とは、不動産の売却代金や仲介手数料の詳細を示すために作成される書類です。
以下のポイントに注意しながら作成します。
- 在庫として持っている土地(その土地に関連する権利も含む)の売却、または土地などの仲介に関わる取引で、大きな金額のものは個別に明細を記述してください。もし明細が多くなる場合、もっとも金額が大きい売り上げ(または仲介手数料)の上位20件だけを記載する形でも構いません。
- 「区分」の部分には、その取引が「売上」なのか「仲介手数料」なのかを明記します。
- 土地と建物のセットでの売却や仲介が行われ、土地と建物の価格を別々に計算していない場合は、「売上金額(仲介手数料)」の欄の最初の部分に、その取引における総金額を記入します。
売上高などの事業所別内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
売上高などの事業所別内訳書とは、複数の事業所を設けている場合に、各事業所ごとの売上高を示すために作成されます。
以下のポイントに注意しながら作成を行います。
- 期間中に新しく設立された、または閉鎖された事業所がある場合、それに関する情報と具体的な年月日を「摘要」の部分に明記します。
- 「計」の欄に記載する金額は、損益計算書上の対応する金額と同じであるように確認しながら記入してください。
- 各事業所で行っている具体的な事業や活動の内容を、「事業などの内容」の欄に詳細に書き記します。
役員報酬手当など及び人件費の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
役員報酬手当など及び人件費の内訳書には、役員報酬の役員ごとの内訳や、人件費の総額などを記載します。
役員報酬手当などおよび人件費の内訳書を作成する場合には、以下のポイントに注意しながら記載を行います。
- 役員の給与の詳細を記述する際には、最初に代表者の給与情報を書き記してください。ほかの役員の給与情報の記入順序は自由です。
- 「役員給与計」の欄には、役員への通常の給与と賞与の合計額を記入し、退職給与は含めてはいけません。
- 役員がほかの職務も兼任している場合、その兼任職務に対する給与部分を「使用人職務分」に記載してください。
- 「使用人職務分以外」の「定期同額給与」には、一定の期間ごとに同じ金額が支給される給与の合計を記載してください。
- 「事前確定届出給与」欄には、特定の条件に基づいて確定した金額や株式などが支給される場合のその金額を記入します。
- 業績に応じて支給される給与は、「業績連動給与」欄にその金額を記載してください。
- 4. 5. 6.のカテゴリに当てはまらないそのほかの給与は、「その他」欄に記載します。
- 「従業員」の「給与手当」には、事務職の給与と賞与の合計を記入し、「賃金手当」には、製造業務などの従業員の給与と賞与の合計を記載してください。
地代家賃などの内訳書-工業所有権などの使用料の内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
地代家賃などの内訳書は、期中に支払った地代家賃などの内訳を詳細に示すために作成される書類です。
作成の際には以下のポイントに注意してください。
- 土地や建物を借りる際に支払った権利金などがあれば、「権利金などの期中支払の内訳」の各欄にその詳細を記入します。ただし、記載する項目が100項目を超える場合は、支払賃借料や支払金額が大きい順に最大100項目まで記入しても問題ありません。
- 権利金などの支払いを複数回に分けて行った場合、それぞれの支払いについて支払った年月日を明記します。
- 権利金などを外国の法人や非居住者に支払う場合、それらの「貸主の所在地(住所)」および「支払先の所在地(住所)」欄に、それぞれの海外の住所を正確に書き込んでください。
雑益、雑損失などの内訳書
「預貯金等の内訳書」(国税庁)を加工して作成
雑益・雑損失などの内訳書とは、雑収入や雑損失などで処理された取引の詳細を記載するために作成する書類です。
作成時のポイントは以下のとおりです。
- 雑収入、雑益(損失)、固定資産の売却益(損失)、税金還付金、および貸倒損失に関して、それぞれの科目と取引相手ごとに、金額が10万円以上の場合は明細を記入します。
ただし、土地の売却益(損失)は、「固定資産(土地、土地に関する権利、建物を含む)の内訳書」に既に記入済みの場合、再度記入する必要はありません。
- 「税金の還付金」に関する取引内容のものは、期末の現在高が10万円未満であっても、すべて個別に詳細を記入しなければなりません。
- 1の指示にしたがって記入すべき項目の数が100を超える場合、もっとも金額が大きいものから順に100項目まで記入して構いません。ただし、「税金の還付金」に関する項目も、これら100項目に含めて記入します。
勘定科目を体系的に学ぶならCPAラーニング!簿記講座など800本以上の講義が無料で見放題
もう検索いらず!CPAラーニングなら勘定科目を覚えられる!
仕訳のとき何の勘定科目か分からなくてつい検索してしまう。
経理担当者あるあるではないでしょうか。
CPAラーニングなら、経理初心者の方でも効率的に勘定科目を覚えることができます。
CPAラーニングは、簿記や経理実務などの800本以上の講義が無料で見放題のeラーニングサイトです。
簿記試験対策はもちろんのこと、日々のビジネスシーンを想定した会計処理も、具体的な事例を通じて学ぶことができます。
なぜCPAラーニングで勘定科目が覚えられるのか
暗記ではなく勘定科目を「理解」する
勘定科目を覚えるためには、暗記に頼るのではなく、まずは「理解」することが大切です。
勘定科目の意味や、計上する目的を考えながら覚えていくと、いざ仕訳をするときに思い出しやすくなります。
たとえば、「勘定科目の判別」という講義では、「勘定科目はなぜ使い分けるのか」というテーマで、経理業務の楽しさや意義をひも解いていきます。
講師が公認会計士またはプロの実務家
CPAラーニングの講義は、公認会計士やプロの実務家などが担当しています。
公認会計士には、大手公認会計士資格スクール(CPA会計学院)の講師も含まれており、解説のわかりやすさには、定評があります。
また、プロの実務家の講師は、業界の最前線で活躍してきた方々なので、具体的な業務に結びつけた解説が「理解」の手助けとなります。
スキマ時間を活用して学習できる
CPAラーニングなら、お手持ちのスマートフォンやタブレットで学習が完結します。
最近リリースされた公式アプリでは、講義動画のダウンロード・オフライン再生が実装されました。
これにより、いつもの通勤・通学時間を活用して、効率的に学習を進めることができます。
CPAラーニングが完全無料で利用できる理由
CPAラーニングは、「日本の会計リテラシーを底上げしたい」という思いから始まったサービスです。
より多くの方にご利用いただきたく無料でご提供しております。
そのため、CPAラーニングのすべてのコンテンツ(講義の視聴、テキスト・レジュメのダウンロード、模擬試験など)が完全無料で利用できます。
登録受講者数は40万人を突破
CPAラーニングの登録受講者数は40万人を突破しました。
「CPAラーニングを使って簿記に合格しました!!」という喜びの声をX(旧Twitter)で日々頂いています。
CPAラーニングで簿記検定に合格した方の声
メールアドレス登録だけで全コンテンツが利用可能
CPAラーニングは、メールアドレス登録だけで、全てのコンテンツをすぐに利用することができます。
課金や、機能制限などはございません。
「勘定科目を体系的に学びたい」「勘定科目をいちいち検索するのが面倒」とお考えの方はCPAラーニングをぜひご利用ください。
このコラムを読んでいるあなたにおすすめのコース
まとめ
勘定科目内訳明細書は、法人税法で提出が義務付けられている書類であるため、法人は必ず提出しなければなりません。
貸借対照表や損益計算書で使われている勘定科目の詳細が示されていることから、税務調査などの際に利用されます。
平成30年の税制改正によって記載事項について簡素化されるなど大きな変更があり、その後は軽微な修正が行われています。
勘定科目内訳明細書を作成する場合には、国税庁のホームページから様式をダウンロードできますが、会計ソフトを利用して作成するのが一般的です。