銀行振込は明細書が領収書代わりになる!発行時に注意すべきポイントも解説

銀行振込を行った場合、相手先から領収書が発行されないことがあります。

銀行振り込みの場合は、振込明細書を領収書の代わりとして利用することが可能です。

銀行振込を行った側が領収書の発行を求めた場合に、振込を受けた側は領収書を発行する義務があります。領収書発行時には、いくつか注意すべきポイントもあります。

本記事を読めば、銀行振込を行った場合に振込明細書などが取引の証拠となることを理解できます。また、領収書を発行してもらう場合の注意点についても把握できるので、ぜひ参考にしてください。

銀行振込は明細書が領収書代わりになる?

銀行振込が行われた場合、振込明細書(振込受取書)は通常、領収書の代わりとして機能します。

銀行振込の明細書は、振込が行われた事実を証明する公式な文書です。そのため、金銭の授受を示す証拠として税務調査などの際にも利用できます。

ただし、銀行振込をおこなう側(支払者)が正式な領収書の発行を要求する場合、銀行振込を受ける側(代金の受取人)は、領収書を提供する義務があります。

代金の受取人が領収書を発行しなければならないのは、民法486条が「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」と定めているためです。

出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)

とくに定期的な銀行振込を伴う契約の場合、領収書を都度発行するのは煩雑です。

そのため、契約の初期段階で「銀行振込明細書をもって領収書の発行に代える」といった取り決めを行い、領収書の発行を省略するのが一般的です。

領収書代わりになるもの

金融取引やサービスの支払いにおいて、正式な領収書以外の文書が領収証として代用できる場合があります。

これには、振込明細書、クレジットカードの利用明細書、インターネット取引時の確認メールなどが含まれます。

振込明細書

振込明細書は、銀行口座を通じて行われた取引の詳細を記録した文書です。

振込明細書は、支払いが実行されたこと、および支払い金額を証明するものとして機能するため、領収書と同等の扱いを受けることがほとんどです。

しかし、振込明細書は法的には正式な領収書としての、すべての要件を満たすわけではありません。

そのため、支払者の要求に応じて正規の領収書を発行する必要が出てくることもあります。

クレジットカードの利用明細書

クレジットカードの利用明細書もまた、領収書の代わりとしての役割を担うことができます。

クレジットカードの利用明細書は、カードの所有者が特定のサービスや商品の支払いをカードで行った際に発行される、取引の詳細が記載された書類です。

通常、日付、支払額、商店の名前やサービスの種類などの情報が含まれ、支払いを証明するものとして認められます。

インターネット取引時の確認メール

オンラインでの購入やサービスの支払いに際しては、確認メールが領収書の代替となります。

確認メールには通常、取引の日時、購入した商品やサービスの詳細、支払った金額、取引を処理した企業の情報が含まれている場合がほとんどです。

オンライン上での取引が増加するにつれ、確認メールは正式な領収書と同様に、金銭の授受を証明する重要な文書とみなされるようになってきています。

領収書をもらうときに知っておきたいポイント

銀行振込のように、金銭の授受が伴う取引では、領収書が取引の正当性を証明する重要な文書となります。

以下では、銀行振込の際の領収書の取扱いについて、3つの重要なポイントを紹介します。

具体的には、領収書の発行義務、発行方法、高額取引での印紙の必要性を解説します。

振込側が求めれば受領者は領収書を発行する義務がある

法律により、金銭の支払いを行った側が領収書の発行を求める場合、受領側は領収書を発行しなければならないと定められています。

これは民法第486条において、「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」と規定されているからです。

出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)

民法第486条により、振込を行った側が正式な証明を求める権利が保証され、取引の透明性と正確性が確保されます。

領収書は郵送やメールで発行することも可能

現代の技術の進歩にともない、領収書の発行方法も多様化しています。

物理的な文書としての郵送に加えて、デジタル形式でのメール送信による発行も一般的に行われています。

特に現在の社会状況を鑑み、リモートでの業務が増加しているため、メールでの領収書の送受信は便利で効率的です。

ただし、デジタル形式の領収書を受け取る場合でも、領収書の記載すべき情報がすべて含まれており、検索すればすぐに発見できるように整理しておくことが重要です。

50,000円以上の取引の場合は印紙が必要

日本では、5万円以上の取引をともなう領収書を発行する際には、印紙税が課されます。

印紙税は、高額の取引に対する国の税収確保策の一環として設定されており、取引の金額に応じて必要な印紙の金額が異なるので注意が必要です。

一般に、領収書に印紙を貼り付けることで文書が法的な効力を持ち、取引が正式に認められたものとされます。

高額取引を行う際には、適切な印紙を使用し、適法に取引を行うことが重要です。

領収書の書き方のポイント

銀行振込を受けた際の領収書の作成は、取引の正当性を証明し、会計処理を正確に行うために不可欠です。

領収書を適切に書くためには、5つのポイントを理解しておく必要があります。

日付

領収書には、金銭を受け取った日付を記載する必要があります。

これは、取引が行われた時点を明確にするためであり、将来この文書を参照した際に、いつお金が動いたのかを正確に把握できるようにするためです。

日付のフォーマットは、通常、年/月/日の順で書かれます。

金額

振込まれた金額も、領収書上に記載されます。金額は非常に重要な情報です。

数字はハッキリと読めるように書かれ、誤解が生じないようにする必要があります。

また、金額は日本円で表記されることが一般的ですが、外貨での取引の場合は、通貨の単位を明記する必要があります。

但し書き

「但し書き」は、領収書において金銭が受け取られた目的を具体的に説明する部分です。

サービスや商品の明確な説明が含まれ、あとで見返したときや会計監査の際に、取引の内容を正確に理解できるようにするために重要です。

受け取る側の宛名

領収書は、正式な文書としてお金を支払った側の正確な名前、または、企業名を含む必要があります。

領収書が、誰またはどの企業のために発行されたのかを、特定するためです。

宛名部分に誤りがあると、領収書の正当性が疑われることがあります。

発行者の名前や住所

領収書の信頼性を確保するためには、発行者の情報も完全かつ正確に記載されていなければなりません。

発行者のフルネームや企業名、連絡先情報、住所を明記することで、必要に応じて確認や問い合わせが可能となり、文書としての正確性と信頼性が高まります。

これらのポイントをすべて満たした領収書は、取引の正確性と透明性を保証することができます。間違いがあると、法的な問題や会計上の不整合を招く恐れがあるため、注意深く作成することが求められます。

領収書発行時に注意すべきポイント

銀行振込時の領収書の発行は、商取引において重要な手続きです。

領収書は、支払いが行われた証拠であり、取引の証拠となる基本的な文書です。

しかし、領収書の発行には注意が必要で、以下のポイントを理解し、適切な手順を踏まなければなりません。

二重計上にならないように注意する

領収書を発行する際にまず注意すべきなのは二重計上です。

二重計上とは、同じ取引を誤って二度記録することを指し、企業の財務状況が適正に表示されない恐れがあります。

領収書の二重計上を避けるためには、領収書を発行した際にすぐに会計システムに記録する必要があります。

振込が行われるたびに、新しい取引であるか、既存の取引の一部であるかを確認し、記録を一元管理することが重要です。

また、領収書の番号付けシステムを利用することで、文書の追跡と整理が容易になり、二重計上のリスクを減らすことができます。

領収書の再発行はできない

一般的に、領収書の再発行は避けるべきです。

領収書は、特定の取引に関連した一回限りの文書とみなされています。

一度発行された領収書は、取引における最終的な金額の証拠となるため、原則として変更や再発行はできません。

領収書を紛失した場合や記載内容に誤りがあった場合は、新しい文書を発行する必要がありますが、これは再発行とは異なり「訂正領収書」として取り扱われるべきです。

「訂正領収書」には、元の領収書の情報と、何が訂正されたのかを明確に示す必要があります。

領収書発行時に注意すべきポイントは、財務情報の正確さを保ち、法的な問題や将来的な会計監査の際の問題を避けるために非常に重要です。

領収書は、企業活動における信頼性と透明性を保証するツールであり、適切な管理と発行手続きが不可欠なのです。

ネットやATMで銀行振込みした場合の対応方法

現代の金融取引はデジタル化が進んでおり、多くの支払いがインターネットバンキングやATMを通じて行われています。

こうした環境では、伝統的な紙の領収書が直接手元に届くことは少なくなっており、とくにネットやATMでの銀行振込みを行った場合、適切な領収書の対応方法を理解しておくことが重要です。

まず、ネットバンキングを利用して振込を行った場合、通常、取引完了時に確認画面が表示されるため、確認画面を印刷またはスクリーンショットとして保存できます。

振込完了画面は、支払いが完了した証拠として機能します。

ただし、振込完了画面は正式な領収書とは異なり、税務目的などでの使用には限界があります。そのため、振込後には支払い先に正式な領収書の発行を依頼することが望ましいでしょう。

また、ATMを使用した場合、取引後にATMから取引明細が出力されます。

取引明細には、振込みの日付、時間、取引先の口座情報、金額などが記載されていますが、取引明細もまた、正式な領収書ではありません。

しかし、税務調査などの目的で必要な場合、取引明細も重要な取引証拠となり得ます。

さらに、正式な領収書が必要な場合、支払い先に連絡を取り、領収書の発行を依頼する必要があります。

なお、インターネットショッピングのような通販を利用した場合、確認メールや取引画面のキャプチャー画像、納品書も金銭のやり取りを証明するものとして利用できます。

ただし、これらは原則として代金が支払われる前に発行されるものであるため、領収書の代わりとして使いたい場合は、代金が支払済みであることを確認できる追加の情報が必要となるでしょう。

ネットやATMでの振込みは便利ですが、領収書としての要件を満たすためには、正式な領収書の発行を支払い先に依頼することが基本となります。

領収書発行手続きには、支払いの詳細を明確にし、会計処理を適切に行うための正確な情報提供が求められます。

特に法人としての経費処理や個人としての税務申告の際には、これらの情報が必要となりますので、デジタル取引が増える現代において、適切な知識と対応が求められるので注意してください。

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まとめ

銀行振込を行った場合、相手から領収書がもらえるケースはほとんどありません。

しかし、領収書がなくても、振込明細書、クレジットカードの利用明細書、インターネット取引時の確認メールなどを利用できます。

税務申告や経費精算においても、領収書の代わりに振込明細書、クレジットカードの利用明細書、インターネット取引時の確認メールなどの書類を利用可能です。

ただし、証明能力はまったく同じというわけではなく、領収書が最も強力な証拠となることに違いはありません。

そのため、税務対応や法的証拠として十分な証拠を求める際には、振込先からの正式な領収書発行を依頼することが不可欠です。

振込先側も求められた場合には、領収書発行の義務があります。

領収書を発行する場合には、二重計上とならないように注意し、領収書は再発行できないものであることを理解しておきましょう。

この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

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簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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