本記事では、棚卸資産とは何かを解説します。
スーパーに並んでいる商品、ドラッグストアに並んでいる薬、カーディーラーに並んでいる車はいずれも棚卸資産と呼ばれます。企業は、棚卸資産を仕入れたり、製造したのち、それを売却したりして売上を獲得します。
そのため、いくらで仕入れたのか、いくらで売却したのかを理解することは極めて重要です。仕入れた商品が仕入価格以上で売却できない場合には、棚卸資産の価値を再評価して引き下げる必要があります。
そこで本記事では、棚卸資産の分類や評価する方法を解説していきます。
目次
棚卸資産とは
棚卸資産とは、売上収益を得るために払い出すことを予定して保有している財貨のうち、短期のうちに数量的に減少する項目のことをいいます。具体的には、原材料、仕掛品、製品、販売商品など、一定の期間内に売却または消費されることを目的として保持される資産の総称です。
棚卸資産は、企業の財務諸表の資産の部に記載されます。より細かくいえば、現金預金・受取手形・売掛金・有価証券に続く部分で、原則として次の3グループに区分して記載されます。
- 商品および製品(半製品を含む)
- 仕掛品
- 原材料および貯蔵品
なお、会計の世界では、完成品をほかの企業から購入した場合は商品と呼び、自社生産の場合は製品と名付けて区別します。
証券会社や銀行が販売目的で保有している有価証券、および不動産業者が販売目的で保有する土地や建物は、商品であるので棚卸資産に該当します。
参考:企業会計基準委員会(企業会計基準第9号 「棚卸資産の評価に関する会計基準」の公表)
参考:企業会計審議会(企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書)
参考:大蔵省(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則)
棚卸資産の分類
「企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書」の第四・第一・七において、棚卸資産は以下のように分類されています。
- 商品または製品
- 半製品
- 仕掛品
- 主要原材料
- 補助原材料
- 消耗品で貯蔵中のもの
以下では、それぞれ具体的に何を示すのかを解説します。
参考:企業会計基準委員会(企業会計基準第9号 「棚卸資産の評価に関する会計基準」の公表)
参考:企業会計審議会(企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書)
商品または製品
「商品または製品」は、製造・生産が完了し、販売を待つ状態のものを指します。たとえば、家電メーカーの場合、完成したテレビや冷蔵庫などが該当します。
これは、すでに市場に出せる形になっており、消費者やほかの企業に提供するのを目的としたものです。なお、副産物や作業屑も、製品または製品に該当します。
半製品
「半製品」は、製造・生産の過程の中間段階であり、まだ完成していないものを指します。これは、さらなる加工や組み立てが必要な状態のものです。
たとえば、自動車製造の場合、エンジンや車体だけが組み立てられた状態のものが半製品となります。
仕掛品
「仕掛品」とは、製造の途中段階である商品のことを指します。半製品とは異なり、仕掛品は生産ライン上での中断時や一時停止時のものを指します。
たとえば、洋服の縫製中や、パソコンの組み立て途中などが仕掛品としてカウントされます。
主要原材料
「主要原材料」は、製品の主要な部分を形成するための素材を指します。これは、製品の基本的な特性や機能を形成するものです。
たとえば、家具製造の場合、木材や鉄などの主要な材料が該当します。
補助原材料
「補助原材料」は、製品の製造過程で使用されるが、製品自体の主成分とはならない材料を指します。たとえば、塗料や接着剤、染料などが該当します。
製品の完成や機能の向上には補助原材料は必要ですが、主な構成要素ではありません。
消耗品で貯蔵中のもの
「消耗品で貯蔵中のもの」は、製造過程で使用される消耗性の物品で、一時的にストックされているものを指します。
これには、工具や機械の部品、オフィス用品などが含まれることがあります。これらは継続的な製造活動に必要とされるものですが、製品自体の成分としては使われないものです。
棚卸資産の管理で重要な棚卸
棚卸資産は、事業活動を通じて獲得した在庫や資材を指す資産の一部です。これらの資産を正確に管理するのは、企業の財務諸表の正確性を保ち、財務の信用度を高める上で重要となります。
具体的な棚卸し方法としては「実地棚卸」と「帳簿棚卸」が挙げられます。
これらの方法はそれぞれ異なる特性を持っています。実際の棚卸しの現場においては、実際の数と帳簿上のズレがないかをチェックしなければならないので、両者の方法を組みあわせて行うのが一般的です。
以下では、それぞれの方法について詳しく説明します。
実地棚卸
「実地棚卸」は、文字通り企業が保有する棚卸資産を直接目視や手で触って確認する方法です。
この方法の最大の特長は、直接物理的に在庫を確認するため、在庫の実態と帳簿上の記載が一致しているかの確認が正確に行える点にあります。
たとえば、倉庫に保管されている商品の数量や状態を直接確認し、それを基に正確な在庫数を把握することが可能です。
ただし、大量の在庫を有する企業や多数の商品カテゴリを扱う場合、この方法は時間や人的リソースを多く要するというデメリットもあります。
帳簿棚卸のメリット
「帳簿棚卸」は、企業の帳簿や在庫管理システムに記載されているデータを基に棚卸を行う方法です。
具体的には、売上や購入、在庫移動などの帳簿上の記録をもとに、理論上の在庫数を算出します。
この方法のメリットは、物理的な確認作業が不要であるため、時間や労力の節約が期待できる点にあります。
とくに高度な在庫管理システムを導入している企業では、リアルタイムでの在庫情報の更新や集計が可能となるため、迅速な棚卸が実現できます。
しかし帳簿上のデータが間違っている場合や、システムの不具合が生じた際には正確な棚卸が難しくなることも考えられるため、定期的な実地棚卸との併用が推奨されます。
棚卸資産を評価する方法
企業が在庫として保有する商品や資材は、経済状況や市場価格の変動により価値が変わる可能性があります。
財務諸表上での表示価値や損益計算に関わる売却価格は、適切に反映させるための評価方法が必要です。
これらの評価方法として「原価法」が広く採用されています。原価法の下には、さまざまな具体的な評価方法が存在します。
参考:企業会計基準委員会企業会計基準委員会(企業会計基準第9号 「棚卸資産の評価に関する会計基準」の公表)
参考:企業会計審議会(企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書)
原価法
原価法は、在庫の取得原価を基にその価値を評価する方法です。
原価法は、棚卸資産の原価総額を売上原価になる部分と次の会計期間に棚卸資産として繰り越す部分に配分することから、原価配分法(もしくは費用配分法)と呼ばれることもあります。
たとえば、100万円分の仕入れがありそのうち70万円分が販売されたら、70万円が売上原価に、30万円は次の会計期間に棚卸資産(在庫)として繰り越されます。
以下では、原価法の具体的な評価手法を詳しく解説します。
個別法
個別法とは、在庫資産の評価方法の一つで、具体的にはそれぞれの在庫品目を個別に評価する方法を指します。この方法の主な特徴とメリット、適用するシチュエーションを以下に詳しく説明します。
- 特徴
- 個別の原価に基づく評価
個別法では、各在庫品目の取得時の原価を基に、その在庫品目の評価を行います。
- 在庫の特性を反映
各在庫品目の特性や購入価格の変動を正確に捉えることができます。
- メリット
- 高精度の評価
各在庫品目の具体的な取得原価に基づくため、正確な評価が可能です。
- 価格変動の影響を受けにくい
個別に評価するため、ほかの在庫品目の価格変動の影響を受けることがありません。
- 管理が容易
特定の在庫品目が問題を起こした場合、原因追求や対策がしやすい。
- 適用するシチュエーション
- 在庫項目が少ない場合
在庫品目の数が少ない場合、それぞれの品目を個別に管理・評価するのが現実的です。
- 高価な商品や機器
高価な商品や機器、特別な設備など、個々の原価が大きく異なる場合や、その価値が高い場合には、個別法での評価が望ましいとされます。
総じて、個別法は在庫の詳細な管理と正確な評価を目指す場合に適した方法です。
ただし、在庫品目の数がとても多い場合や、同じ品目でも取得原価が頻繁に変動する場合などは、管理が煩雑になる恐れがあるので、そのような場合にはほかの評価方法を検討する必要があります。
先入先出法
先入先出法は、「最初に入ったものが最初に出る」ように原価を配分する方法です。
この方法の主な特徴、メリット、適用するシチュエーションについて以下に詳しく説明します。
- 特徴
- 古い在庫からの計上
先に仕入れた在庫から順に売却・消費されると想定します。つまり、売上原価の計算時には、もっとも古い在庫の原価が用いられます。
- 在庫の流れを自然に反映
実際の在庫の物理的な動きと合致しやすいため、多くの企業で使用される方法です。
- メリット
- 直感的理解
実際の商品の動きと一致しやすいため、理解しやすく、実務での適用が容易です。
2.在庫の古さを考慮
在庫の古さを考慮して、在庫の回転率や古くなった在庫の有無などの分析がしやすくなります。
- 適用するシチュエーション
- 商品の性質上、古いものから使用・販売されるケース
たとえば、食品や医薬品のように賞味期限や効果期限があるものは、先入先出法が適しています。
- 物価が上昇傾向にある場合
物価上昇の環境では、先入先出法を採用すれば、古い在庫の低い原価を先に計上可能です。
総じて、先入先出法は、物理的な在庫の動きと会計上の在庫評価を一致させたい場合や、特定の業界や商品の性質に基づいて在庫評価を行いたい場合に適した方法です。ただし、実際の在庫の動きと一致させることが難しい場合や、特殊な状況の下での評価を求められる場合には、ほかの評価方法の選択も検討する必要があります。
総平均法
総平均法は、棚卸資産の評価方法の一つで、在庫商品の原価を計算する際に、その期間中の平均原価を使用する方法です。
具体的には、在庫の総額を在庫数量で割ることで、平均の単価を求め、それを使用して在庫の評価や売上原価を計算します。
- 特徴
- シンプルな計算
一定期間内の在庫の総額と総数量から、平均単価を導き出します。
- 変動の緩和
先入先出法や後入先出法とは異なり、総平均法は仕入れの変動を平均化するため、価格の変動が頻繁に起こる場合でも安定した評価が可能です。
- 使い方の例
仮に、ある月に以下のような商品の仕入れがあったとします。
- 1日: 10個 … 100円
- 15日: 20個… 110円
- 25日: 10個 …105円
この場合、総平均法を使用すると以下のように平均単価を計算可能です。
- 総額: (10×100) + (20×110) + (10×105) = 1000 + 2200 + 1050 = 4250円
- 総数量: 10 + 20 + 10 = 40個
- 平均単価: 4250 / 40 = 106.25円
この平均単価106.25円を用いて、在庫評価や売上原価を計算します。
- 注意点
- 定期的な再計算
新しい商品の仕入れや既存在庫の変動があるたびに、新たな平均単価の計算が必要です。
- 在庫の実態との乖離
総平均法は計算上の平均価格を使用するため、実際の在庫の構成や価格と一致しない場合があります。
総平均法は、在庫評価を簡素化したい企業や、価格の変動が頻繁に起こる商品を扱う企業に適しています。
しかし、在庫の実態や取引の特性によっては、ほかの評価方法が適切な場合もあるので、選択する際には注意が必要です。
移動平均法
移動平均法は、棚卸資産の評価方法の一つで、在庫商品の原価を計算する際に、新たな仕入れがあるたびに平均原価を再計算し、その平均原価を使用する方法です。
この方式はとくに、在庫の流通が高速であり、価格変動が頻繁に起こる場合に適しています。
- 特徴
- 頻繁な再計算
新しい商品の仕入れがあるたびに、平均単価を再計算します。
- 価格変動の平均化
仕入れごとの単価の変動を緩和し、中間の単価で在庫を評価できます。
- 使い方の例
仮に、商品の仕入れが以下のように行われた場合を考えます。
- 初期在庫: 10個 … 100円
- 1日目の仕入れ: 5個 … 110円
- 2日目の仕入れ: 5個 … 120円
- 1日目の仕入れ後の移動平均単価の計算:
- (10個 × 100円 + 5個 × 110円) ÷ (10個 + 5個) = (1000 + 550) ÷ 15 = 103.33円(端数は四捨五入)
- 2日目の仕入れ後の移動平均単価の計算:
- (15個 × 103.33円 + 5個 × 120円) ÷ (15個 + 5個) = (1549.95 + 600) ÷ 20 = 107.5円
この107.5円を新たな平均単価として使用します。
- 注意点
- 管理の手間
新しい仕入れがあるたびに再計算が必要なため、管理が比較的煩雑になる可能性があります。
- 在庫の実態との近似性
頻繁に平均単価が更新されるため、実際の在庫の状況を比較的正確に反映できるという特長があります。
移動平均法は、価格変動が頻繁に起こる商品を扱う企業や、仕入れのタイミングが不定期である場合にとくに有効です。しかし、管理の手間やシステム面でのサポートが必要になることを考慮し、企業の実情にあわせて選択するのが重要です。
売価還元法
売価還元法は、商品の売価(定価や標準販売価格)を基にして、その売価から特定の利益率を差し引いた額で在庫を評価する方法です。
具体的には、商品の売価から取引ごとの粗利率を減算することで、商品の原価を導き出します。
- 特徴
- シンプルな計算
特定の売価と利益率がわかっていれば、簡単に在庫の評価額を計算できる。
- 取扱種目の多い業種に適している
売価還元法は、売価と利益率が商品ごとに異なる場合が多い、取扱種目が多い業種でも、一つ一つの商品について原価を把握せずに在庫を評価可能です。
- 使い方の例
仮に、ある商品の売価が1,000円、そしてその商品の粗利率が30%であるとします。この場合、売価還元法を使って在庫の評価を行うと以下のように計算されます。
- 商品の原価 = 売価 – (売価 × 粗利率)
- = 1,000円 – (1,000円 × 0.30)
- = 1,000円 – 300円
- = 700円
この商品の在庫評価額は700円となります。
- 注意点
- 適用性の限定
この方法は、定価販売が主であるような業種や市場での価格変動が頻繁に起こる業種での利用が適しています。
- 粗利率の正確性
粗利率が正確でないと、適切な在庫評価ができないため、粗利率の見直しや更新が必要となる場合があります。
売価還元法は、特定の業種や市場環境においては有効な評価方法であるものの、すべての業種や商品に適しているわけではないため、適用を検討する際には業種の特性や市場環境を考慮する必要があります。
売価や原価が異なる商品を大量に取り扱う小売店などにおいて多く採用されている方法です。
最終仕入原価法
最終仕入原価法は、在庫の評価方法の一つで、期末の在庫商品を、期末における最後の仕入れ価格、すなわち最新の仕入れ原価で評価する方法です。
- 特徴
シンプルな計算:最後に仕入れた商品の原価を使用するため、計算自体はシンプルです。
価格変動への対応:商品や材料の市場価格が頻繁に変動する場合でも、もっとも新しい価格情報をもとに在庫を評価するため、最新の市場の動きに近い評価が可能です。
- 使い方の例
たとえば、ある商品を以下のような価格で仕入れていたとします。
- 1月1日: 100円
- 2月1日: 105円
- 3月1日: 110円(最終仕入れ)
期末在庫としてこの商品が10個残っている場合、最終仕入原価法を使って在庫の評価を行うと、評価額は最後の仕入れ価格である110円を使用します。
したがって、在庫評価額は 110円 × 10個 = 1,100円 となります。
- 注意点
- 市場の大きな変動とのギャップ
もし市場価格が大きく変動していて、最終の仕入れ価格が実際の市場価格を反映していない場合、この方法では適切な在庫評価が難しくなります。
- 一時的な価格変動の影響
最終の仕入れ価格が一時的な価格変動によるものである場合、その変動を基にした在庫評価が行われるため、実際の商品の価値と評価額にギャップが生じる可能性があります。
最終仕入原価法は、在庫評価の方法としては比較的シンプルである反面、適切な評価を行うためには最終の仕入れ価格が市場価格を正確に反映していることが前提となります。
そのため、この方法を採用する場合は、市場の価格動向や仕入れ価格の変動を常にチェックし、適切な評価が行われているかを確認する必要があります。
低価法
低価法は、在庫の評価において「取得原価」と「時価」のうち、低い方の価格で評価する方法を指します。ここでの「時価」とは、通常、在庫の現在の市場価格や販売価格を指します。
低価法は、在庫の価値の減少を迅速に会計上で捉えるための方法として用いられ、現在の棚卸資産は、低価法での期末評価が義務付けられています。
洗替法
棚卸資産に低価法を適用して、在庫の価値を引き下げた場合の会計処理方法には、洗替法と切離法があります。
洗替法では、低価法を適用して期末に計上した評価損を翌期首に戻し入れて、いったん元の帳簿価額に復元したうえで、翌期末の新たな時価との比較を行います。
- 洗替法の具体的な処理の流れ
取得原価が1,000円、時価が900円の商品があった場合、100円の評価損を損失として計上した場合には、次のように会計処理を行います。
期末:
(借)棚卸評価損 100円 (貸)商品 100円
翌期首:
(借)商品 100円 (貸)棚卸評価損 100円
洗替法では、翌期首に切り下げた商品の価値を元に戻します。元に戻すことによって、常にその商品の購入時の価格(取得原価)がわかり、常に購入時の価格と決算時の時価を比較できるようになります。
次の期に本商品の価値がさらに下がって800円となった場合、洗替法では、200円の商品評価損が計上されます。
- 切離法の具体的な処理の流れ
取得原価が1,000円、時価が900円の商品があった場合、100円の評価損を損失として計上した場合には、次のように会計処理を行います。
期末:
(借)棚卸評価損 100円 (貸)商品 100円
翌期首:
仕訳なし
切離法では、翌期首に切り下げた商品の価値を元に戻しません。そのため、常にその商品の直近の時価が商品の価値となります。したがって、商品購入時の価格とその時の価値は切り離されています。
次の期に本商品の価値がさらに下がって800円となった場合、切離法では、100円の商品評価損が計上されます。
在庫が含み損になる条件
棚卸資産の含み損が計上される状況は、基本的に在庫資産の帳簿上の評価額がその資産の市場価値や時価よりも高くなった場合です。
この差額(含み損)は、在庫を現在の市場で売却した際に発生する予想される損失を指します。
以下、計上される具体的な状況を詳しく解説します。
- 市場の価格変動
特定の商品や材料の需要と供給のバランスに変動が生じ、市場価格が大きく下落した場合に含み損が発生します。
たとえば、特定の技術が古くなったために、その関連商品の価格が下がったときなどが挙げられます。
- 商品の陳腐化
流行や季節性の影響を受ける商品が在庫として長期間保管され、価値が下がった場合に含み損が発生します。
例として、昨年のファッションアイテムや季節外の商品などが挙げられます。
- 製品の欠陥やダメージ
品質の問題や保管中の事故により、商品が売れなくなったり、売却価格が下がったりした場合に含み損が発生します。
- 経済全体の状況
経済の不況や特定の業界の低迷により、一般的に商品の価値が下落した場合に含み損が発生します。
- 過剰在庫
予想よりも販売が伸びなかった結果、在庫が過剰になり、その結果として一時的に商品の価値が下がる場合に含み損が発生します。
これらの状況下で、企業は期末の棚卸し評価の際に、在庫資産の時価や実勢価格を考慮し、帳簿上の価値を下方修正する必要が生じます。
このとき、修正後の価値が取得原価や帳簿上の価値よりも低くなる場合、その差額を「評価損」として計上し、含み損として認識します。
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まとめ
棚卸資産は、事業活動の中で保有される在庫や原材料、半製品などを指し、これらの正確な管理と評価は企業経営において極めて重要です。
棚卸資産は、商品や製品、半製品、仕掛品、主要原材料、補助原材料、貯蔵中の消耗品のカテゴリーに分類されます。
棚卸資産の評価方法には、原価法のもとで、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法、最終仕入原価法などが存在し、それぞれの方法には特長・メリット・適用すべきシチュエーションがあるので、自社の状況にあわせて判断しなければなりません。
棚卸資産のうち、在庫となったものは(決算まで残っていたものは)、期末に再評価する必要があります。仕入れた当初、製造当初とは異なる価値となっている可能性があるからです。購入費用・製造費用よりも売却価格が下がっている場合は低価法を適用して、その価値を下げなければなりません。
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