経費の中でも比較的登場する頻度が高いのが交通費です。その中でもバスを利用した際の運賃は「少額であることが多い」「領収書が発行してもらえないことがある」といった特徴を持っています。
とくに路線バスに関しては、領収書をもらうことが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。いくつかのポイントを踏まえれば、領収書なしでも滞りなくバスの運賃を精算できるでしょう。
本記事ではバス運賃の精算について、交通費精算に関する基本的なポイントや領収書の必要性と代替案、ICカードで支払いをした場合に気をつけたい点などをご紹介します。
目次
交通費精算の基本
交通費精算には、押さえておきたい基本的なポイントがいくつか存在します。小売店での購入や大がかりな取引とは若干性質が異なるため、特徴を掴んでおきましょう。
「支払いが必要な費用のみ精算する」「領収書や交通費精算書を確認する」「ICカードの利用履歴も確認する」「申告漏れや不正受給に注意する」の4点をご紹介します。
支払いが必要な費用のみ精算する
交通費を精算する際には、支払いが必要な費用のみを精算し、余分な精算を行わないよう気をつけましょう。無駄な遠回りや、不必要に金額の高い手段を選ばないことが重要です。
とくに飛行機のファーストクラス、電車のグリーン車のような高待遇かつ高額な座席は、経費として認められない恐れがあります。
遠回りも同様で、余程の事情がない限りは最短かつ安価な移動手段を利用するように心がけてください。税務調査で問題視されないためにも、常識の範囲内で交通費精算を行いましょう。
ICカードで交通費を支払っている場合は、業務とプライベートでの支払いを混同しないように注意しましょう。用途に応じて端末やカードを使い分けることが理想ですが、最低限記録をつけておくなどして、経理担当者に申請する際取り違えが発生しない工夫を施しておく必要があります。
領収書や交通費精算書を確認する
交通費を精算する際には、領収書や交通費精算書の記載内容をよく確認しておきましょう。
領収書の保存は少額であれば控除の観点からは不要ですが、交通費を精算する際には必要です。精算を依頼する際、領収書は交通機関を利用したことを証明する強力な証拠となります。利用する交通機関が領収書を発行可能なのであれば、受け取っておきましょう。
領収書が発行できない交通機関を利用した場合は、交通費精算書を作成しましょう。立て替えて支払った交通費の内容を細かく記載した書類を提出し、内容が経理に認められれば精算されます。
交通費精算書には定められた形式はありませんが、基本的に「申請者の名前」「交通機関を利用した日付」「交通機関を利用した目的」「交通機関及び路線の名前」「金額」などを記載します。乗り換えがあった場合には、ルートも正確に記載してください。
ICカードの利用履歴も確認する
ICカードで交通費の支払いを行った場合は、利用履歴をしっかり確認しましょう。業務中に使用したもののみを申請することと、交通費のみを申請することの2点に注意が必要です。
プライベートでもICカードを利用している場合、業務中に発生した支払いと混同しないよう利用履歴から分けておきましょう。
用途に応じて端末やカードを使い分けることが理想ですが、最低限記録をつけておくなどして、経理担当者に申請する際取り違えが発生しない工夫を施しておく必要があります。
仮に業務で使用する専用のICカードを用意している場合でも、交通費以外の支払いとは分けて申請しなければなりません。
備品や消耗品などの支払いをICカードで行っていた場合、利用履歴にはその支払いも残ります。交通費として申請する際には、交通費以外の履歴は省いたものを申請しましょう。
申告漏れや不正受給に注意する
とくに領収書の存在しない支払いは、申告漏れや不正受給に注意しなければなりません。
領収書が発行されるのであれば、領収書の提出によって交通費の申請が行われるため、申告漏れが発生するリスクは下がります。
しかし、領収書がなければ支払いを行った事実を忘れる可能性が高くなり、申告漏れが発生してしまう恐れがあります。精算を行わなければ自腹を切ったことになってしまうため、漏れのない申告を心がけましょう。
不正受給にも注意が必要です。意図的に行うことはもちろんいけませんが、意図せず不正受給を起こしてしまう可能性もあります。
経路や座席のグレードなどによって金額に変化のある交通費は、実際の支払いより多い額を申請する不正受給が発生しやすいです。業務外で利用した交通機関の費用を業務に関係あるものとして申請してしまうことにも注意が必要です。
バスの運賃を交通費精算する際に領収書は必要?
バスの運賃を交通費精算する際に、領収書は必要ではありません。なぜなら領収書が必須になってしまうと、交通費の精算ができない事態に陥ってしまうからです。
領収書が発行された場合は問題なく交通費精算が行えます。しかし、バスや電車の運賃は支払いに際して領収書が発行されない場合が多く、ほかの手段で交通費が発生したことを証明しなければなりません。
バスの運賃を交通費精算する際に知っておきたいポイントとして「一般的に路線バスや電車は領収書が発行されない」「出金伝票や経費精算書を活用する」の2点をご紹介します。
一般的に路線バスや電車は領収書が発行されない
一般的に、路線バスや電車は領収書が発行されません。
電車は券売機で切符を買った際に発行できる場合がありますが、社用のICカードで交通費を払う仕組みだと発行が難しいでしょう。改札脇の窓口で発行してもらえる可能性もありますが、対応は路線や駅ごとに異なります。
バスの場合は営業所か車内で発行を頼むことになります。営業所はどこにでもあるわけではなく、車内での発行も混雑状況によっては難しいでしょう。発行できるかどうかは路線ごとに対応が異なるため、事前の確認が必要です。
例外として、高速バスや新幹線では領収書を受け取ることができます。窓口で支払う際はその場で受け取りができ、ネットで乗車券を購入した場合は電子データで領収書をダウンロードが可能です。交通費を精算する際必要になるため、しっかり保管しておきましょう。
出金伝票や経費精算書を活用する
領収書の代わりとして、出金伝票や経費精算書が活用できます。出金伝票や経費精算書は、自身で発行するものなため、自社内でしか効力を発揮しませんが、交通費の精算としては提出可能な書類です。
出金伝票とは、企業から支出のあった取引を記録する伝票です。内容が定められているものではありませんが、基本的に以下のような内容が記載されています。
- 取引のあった日付
- 取引相手
- 勘定科目
- 摘要(購入内容)
- 金額
出金伝票の記載内容は領収書と似通っており、経費として必要な項目を満たしているため、領収書の代わりに使用できます。
経費精算書は名前の通り、経費として使ったものを精算する際に作成する書類です。交通費に関する経費精算書の場合、主な記載内容は以下の通りです。
- 交通機関を利用した日付
- 利用した交通機関
- 乗車駅または停留所
- 降車駅または停留所
- 往復か片道か
- 目的地(取引相手など)
- 金額
経費精算書は領収書の内容に交通費に特化した内容を盛り込んだものとなっています。
領収書の代わりにICカードを確認する際のポイント
領収書の代わりにICカードの利用履歴を確認する際のポイントには、どのようなものがあるでしょうか。「プライベートで利用した履歴がないか確認する」「物販の利用はないか確認する」「精算したい期間と利用履歴の期間に相違はないか」の3点をご説明します。
プライベートで利用した履歴がないか確認する
業務で使用するICカードをプライベートのものと分けていない場合、プライベートで利用した履歴を省いて経費として申請しなければなりません。
利用履歴を見ただけではプライベートと業務のどちらで利用したのかが判別しづらいため、別途混同しない工夫を講じる必要があります。こまめにメモをとっておくか、業務で外出するたびに申請をおこなうようにしてください。
可能であれば業務用とプライベート用のICカードは分けておいたほうがいいでしょう。意図せずプライベートで利用した分の料金を申請して、不正受給につながってしまわないよう、気をつけてICカードの運用を行う必要があります。
物販の利用はないか確認する
ICカードの支払いは、交通費だけではなく物販(商品の購入)にも使えます。コンビニやチェーンの飲食店だけではなく、最近では個人店でも利用可能なところが増えてきました。商品の購入に利用した分を交通費として申請しないよう気をつけましょう。
経費の申請は目的ごとに分けて行う必要があり、交通費や備品代や消耗品費はそれぞれ別口で申請します。
業務用のICカードをプライベートと分けて利用している場合でも、さらに物販に利用したものと交通費とを分けなければなりません。経費の使途を明確にするためにも、交通費は交通機関を利用した際の支払いのみを申請するようにしてください。
精算したい期間と利用履歴の期間に相違はないか
精算したい期間と利用履歴の期間に相違はないか、という点にも注意が必要です。
たとえば交通費の精算を月ごとに行う方式を採用している会社の場合、該当する月の間に利用した分だけを申請しなければなりません。利用履歴には基本的に日付も表示されるため、履歴を参照すればミスは防げます。
出張のように月を跨ぐ業務にかかった交通費に関しては、企業ごとに対応が異なるため経理担当者に確認をとるようにしましょう。交通費の申請は、自己申告が担う部分が大きいため、自らでひとつずつ丁寧に相違がないか確認することが重要です。
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まとめ
バスの運賃は、高速バスなど一部を除いて領収書の発行が難しいです。しかし、領収書がなくても出金伝票や経費精算書を活用すれば経費として精算できます。
交通費を精算する際は余計な費用を申請しないよう気をつけましょう。グリーン車のような高額な座席や遠回りのルートを利用すると、経費として認められない場合があります。意図せず不正受給をしてしまわないためにも注意が必要です。
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