【初心者経理】売掛金・買掛金の管理って?仕訳計上タイミングから台帳・管理表作成その他重要ポイントの紹介!

虫眼鏡の画像です

はじめに

こんにちは。

突然ですが、皆さんの中に、次のような方はいらっしゃらないでしょうか。

新入社員A子さん

「経理配属になったけど、具体的な経理業務がイメージできない」

元営業職B男さん

「急遽、経理職になって業務に取り組んでいるけど分からないことが多い」

このコラムはこのような方々に向けて書いています。

「経理職が行う業務イメージを持てない」「掛け取引の管理方法がわからない」という悩みを持っている方々も多いと思います。

今回は掛け取引の管理方法についてご説明するので、このような悩みを少しでも解決できると思います。

また、同様の内容が動画版でもご覧いただけます(登録はCPAラーニング 公式サイトから)。

動画版は、会計士YouTuberくろい先生がより楽しさを重視して分かりやすく解説しています。

ただ動画版は30分程度かかるので、「時間がない」「自分のペースでガンガン進めたい」という人にはコラム版をおすすめします。

これからご説明する売掛金・買掛金の管理は経理業務で最も重要かつ基本的な業務になります。

経理初心者さんは、売掛金と買掛金を正しく理解しきちんと管理することで、取引をスムーズに進められるようになりましょう!

売掛金の管理

はじめに、売掛金・買掛金についておさらいします。

売上や仕入を計上した後、実際の入金や支払いまでには一定期間があります。

例えば、翌月入金や翌月支払いなどの場合です。

掛取引の画像です

このうち、実際に売上を計上した後の入金待ちの状態のものを売掛金(お金が入ってくる権利として資産計上)と言います。

その反対で支払い待ちの状態のものを買掛金(お金を払わなければならない義務として負債計上)と言います。

この章で説明するのは売掛金の管理ですので、売上を計上する側のお話であることに注意しましょう。

売掛金の管理を行う上で以下の4つのポイントを押さえる必要があります。

①売上の計上タイミングを決める

②仕訳入力時のポイント

③売掛金台帳と売掛金管理表の作成

④売掛金の回収

それぞれを次の章で見ていきましょう。

①売上の計上タイミングを決める

「いつ売掛金と売上を計上するのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

両者は同じタイミングで仕訳入力する必要があります。

そもそも、売上のフローは次のように5段階あります。

売上計上の画像です

そして、受注を除く出荷・引渡・検収・代金回収のタイミングで売上計上が認められています。

一番多く採用されているのは出荷基準です。頻繁に返品などがある場合でなければ、一番分かりやすいためです。

次に多く使われているのが検収基準です。クーラーなどの大型の機械を取り扱っているお店で採用されていることが多いです。

回収基準は普通の業態だと遅すぎますが、小売業など現金商売のお店で採用されることが多いです。

最後に引渡基準ですが、採用されることはあまりないと思います。

といった感じで、4種類の中から自分の会社にあった売上の計上形態を選択しましょう。

注意ポイントとしては、理由もなく勝手に変更してはいけないということです。一度決めたら継続的に適用する必要があります。

②仕訳入力時のポイント

会計システムに仕訳入力をする際、補助科目が設定できるのであれば絶対に設定しましょう。

売掛金の仕訳の画像です

そもそも補助科目とは、勘定科目の内訳・備忘メモのようなものですが、得意先別に補助科目を設定しておけば、売掛金の残高内訳を得意先別に表示することが可能です。

会計システムが自動的に売掛金の残高内訳をレポートとして出力してくれます。

より具体的に、次の章でご説明します。

③売掛金台帳の作成

売掛金台帳は簿記3級講座で学習した通り、得意先ごとに売掛金の発生と回収を記録した補助簿です。会計システムで補助科目名を設定していれば出力が可能です。

下記が売掛金台帳の具体例になります。

売掛金台帳の画像です

1つ不便な点を挙げるとすれば、得意先ごとしか見ることができないので、一覧性がありません

同時に他の会社の売掛金を見ることができません。

それを解消するために、Excelなどで別途作成するものが売掛金管理表です。

売掛金管理表の画像です

売掛金管理表は得意先の売掛金の情報を一覧化したものです。

図のように、締日や支払日、入金方法などの情報を書いておきます。

簡便的に回収の有無や売上の有無を全社で見ることができます。

また、取引先が多い会社では似たような社名の得意先も想定されるので、得意先コードをつけて管理することをおすすめします。

このように一覧化しておけば、回収漏れに気がつき、督促することができます

④売掛金の回収

売掛金代金を回収できて、はじめて取引は完結します。 

回収の注意ポイントについてご説明します。

■期日になったら入金確認

①入金を確認したら売掛金の消し込み(仕訳入力)

②入金額が請求書と異なる場合は営業担当者に確認

①は消し込みを行わないと、督促を行ってしまう可能性があるためです。

また、②は場合によっては取引先との関係性を壊してしまうリスクがあるため、まずは契約を獲得した営業担当者に確認し、取引先との関係性を踏まえた上で行動することが大事です。

■期限内に入金がない場合

①請求書の送付が漏れていないか確認

②社内の営業担当者に確認し、督促

③2、3回督促しても回収できない場合は内容証明を送付

④上記でもダメなら訴訟に進むか検討

①まずは、こちら側のミスではないかを確認しましょう。②その後、先方のヒューマンエラーや経営悪化等入金がない原因を明確にしましょう。③内容証明といって文書の内容、差出年月日、差出人及び受取人が客観的に証明される郵便を送付することで後日裁判における証拠として利用することができます。

買掛金の管理

この章で説明するのは買掛金の管理です。

基本的には売掛金の逆で、仕入れを計上する側の話です。

買掛金の管理を行う上で以下の4つのポイントを押さえる必要があります。

①仕入の計上タイミングを決める

②仕訳入力時のポイント

③買掛金台帳と買掛金管理表の作成

④資金繰り

特に売掛金と違うという点で、④資金繰りについて注意して欲しいです。

それぞれを次の章で見ていきましょう。

①仕入の計上タイミングを決める

仕入取引は「仕入××/買掛金××」という仕訳を行います。

では、この仕訳をどのタイミングで行えばよいのでしょうか。

仕入取引には、以下の5段階があります。

仕入計上の画像です

そして、受注を除く出荷・受取・検収・代金支払の段階で計上することが認められています。

よく採用される認識基準は、受取基準と検収基準です。

特に、受取基準は商品を受け取ったタイミングで計上するため、一番分かりやすい方法となっています。

売掛金と同様に、この認識基準の選択は理由もなく勝手に変更してはいけません。一度決めたら継続的に適用する必要があります。

②仕訳入力時のポイント

会計システムに入力するときは、補助科目(貸方補助科目)を設定しましょう。

取引先別に補助科目を設定しておけば、買掛金の内訳残高を取引先別に表示可能です。

買掛金取引の画像です

③買掛金台帳と買掛金管理表の作成

買掛金台帳とは、取引先ごとに買掛金の発生と支払いを記録した補助簿です。

会計システムで補助科目を設定していれば、簡単に出力可能です。

下記が買掛金台帳の具体例になります。

買掛金台帳の画像です

ただし、買掛金台帳は1社ごとにしか見れないため、一覧性がありません

この課題を解決するためには、買掛金管理表を作りましょう。

買掛金管理表とは、取引先の買掛金の情報を一覧化したものであり、Excelを使用して作成できます。

買掛金管理表の画像です

④資金繰り

まず、資金繰り(しきんぐり)とは資金の入金と出金の管理のことです。

この章では、「資金の出金である買掛金の支払いについて、支払期日を無視して戦略的に管理していきましょう」ということを伝えたい訳ではありません。

当然ですが、買掛金をきちんと支払期日までに支払いましょう。

その上で、売掛金の回収タイミングと買掛金の支払タイミングに注意することがとても重要になってきます。

以下の事例を用いて、この重要性をご説明します。

資金繰りいい例の画像です
資金繰り悪い例の画像です

このように、売掛金回収のタイミングが買掛金支払いのタイミングよりも先行する場合は、問題なく買掛金の支払いを行うことができます。

基本的にこのような資金繰りを目指しましょう。

一方、売掛金回収のタイミングが買掛金支払いのタイミングよりも遅くなっている場合、先に支払わなくてはいけない買掛金を支払えなくなってしまいます。

買掛金を支払えなくなってしまうと、取引先からの信用が一気になくなってしまうだけではなく、2回以上支払えないと最悪の場合、倒産してしまいます。

そのため、買掛金の支払いの期限は遅くして、売掛金の回収スパンは短くしましょう。

万が一、買掛金を支払う資金が手元にない場合は借入金などで資金を確保しなくてはなりません。

しかし、借入金は利息が発生するため、本来は避けることができるはずの無駄なコストがかかってしまいます。

そのため、無駄なコストが発生しないような資金繰りを行っていきましょう。

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経理の仕事は、伝票起票や経費精算など細かな日次業務が多く、全体像を見失いがちです。

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そのため、経理の仕事は特に、常に全体像を捉えながら進めていかなければなりません。

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まとめ

いかがでしたか。

売掛金と買掛金の管理は、正確な会計処理を行うための基本的な業務になります。

最初は難しく感じることもあるかもしれませんが、しっかり理解すれば難しい業務ではありません。

月末の処理をスムーズに行うためにも、ポイントをしっかりと抑えて効率的な業務を行いましょう。

また、請求書などの帳票類の管理も重要になります。請求書や領収書については、是非「【初心者経理】請求書と領収書の作成方法、伝票入力のポイントまでご紹介!」をご覧ください。

このコラムは、実務コース 経理実務 入門 #08月次業務 – 売掛金・買掛金等の管理を元に作成しています。

より詳細が気になるという方や、文字より音声の方が理解が深まるという方は、ぜひ本編(経理実務 入門)もご覧ください。

以上、【初心者経理】売掛金・買掛金の管理って?仕訳計上タイミングから台帳・管理表作成その他重要ポイントの紹介!でした。

売掛金・買掛金の管理に関してよくある質問

売上計上のタイミングで最も採用されている基準は何ですか?

一番多く採用されているのは出荷基準です。頻繁に返品などがある場合でなければ、一番分かりやすいためです。

買掛金の支払い期限が早い場合どうなりますか?

売掛金回収のタイミングが買掛金支払いのタイミングよりも遅くなっている場合、先に支払わなくてはいけない買掛金を支払えなくなってしまいます。買掛金を支払えなくなってしまうと、取引先からの信用が一気になくなってしまうだけではなく、2回以上支払えないと最悪の場合、倒産してしまいます。

売掛金の入金が期限内に行われていない場合どうしますか?

売掛金の入金が期限内に行われていない場合まず請求書の送付が漏れていないか確認します。そして、社内の営業担当者に確認し督促します。2、3回督促しても回収できない場合は内容証明を送付し、それでもダメなら訴訟に進むか検討します。

この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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