こんにちは。
突然ですが、皆さんの中に、このような方々はいらっしゃらないでしょうか。
新入社員A子さん
「経理職に配属されたけど、業務内容がわからないため勉強したい。」
経理職3年目B男さん
「新しく法令が改正されたため、このタイミングで経費精算や領収書について確認したい。」
このコラムは、このような方々に向けて書いています。
「経理職がどのような業務を行っているかわからない」「法改正をきっかけに、経費精算について学びたい」などの悩みを持っている方も多いと思います。
今回は経費精算と領収書についてご説明するので、このような悩みが少しでも解消できると思います。
また、同様の内容が動画版でもご覧いただけます。(ご登録はCPAラーニング 公式サイトから)
動画版は、会計士YouTuberくろい先生がより楽しさを重視して分かりやすく解説しています。
ただ、動画版は30分程度かかるので「時間がない」「自分のペースでガンガン進めたい」という人にはコラム版をおすすめします。
目次
1.経費精算とは
経費精算とは、従業員が事業に関係する活動を行った際に支払った金額を、会社に申請して払い戻しを受けることです。
経費精算は従業員が領収書を証明書類として提出し、上司や経理部門に承認され、金銭が払い戻されるという流れで行われます。
① 経費とは
経費の正式名称は経営費用です。
つまり、経費とは会社の事業に関連して支出する費用であり、経費に該当するかの最終判断は税務署によって行われます。
会計上の「経費」は、税務上では「損金」として扱われます。
ただし、「経費」となるものであっても「損金」としては扱われないものもあるため、経費=損金となるわけではありません。
② 経費の対象になる費用とならない費用
◆旅費・交通費
→営業活動等で使った交通費や出張時の宿泊費などにあてはまる勘定科目です。
◆消耗品費
→取得価額が10万円未満または使用可能な期間(法定耐用年数)が1年未満の消耗品の購入費用が該当します。文具などだけではなく、PCなどの固定資産であっても上記の要件に該当するものの費用は消耗品費として扱われます。
ただし、中小企業等の場合は取得価格が30万円未満の資産が特例で経費として扱われることがあります。
◆接待飲食費
→交際費等のうち、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」が接待飲食費に該当します。
◆福利厚生費
→従業員のために行うイベントなどの費用は、基本的には損金として処理することができます。
ただし、高額すぎる場合や目的が不明確な場合は福利厚生費として認められないことがあるので注意が必要です。
◆通信費
→インターネット回線使用料や電話料、切手代などの郵送料が通信費に該当します。
しかし、祝電などは交際費、はがきや便せんは消耗品費に該当するため、注意が必要です。
2.立替経費と仮払経費
経費精算には、以下の2種類があります。
◆立替経費
従業員が自らの負担で会社の経費を立替払いし、後日会社から立替分の金銭を従業員へ払い戻す精算方法
◆仮払経費
お金を事前に従業員に渡して会社の業務に使用し、後日差額を精算する方法
3.立替経費精算のフロー
立替経費については、具体例を用いてご説明します。
① 具体例
② 経費申請書
以降で詳しく見ていきましょう。
① 具体例
①営業担当者が出張で飛行機代54,800円を立替
②営業担当者は後日、経費精算書を経理担当者に報告し、立替分の54,800円を払戻して精算
③経理担当者のあなたは経費精算書と領収書の内容が一致しているかどうか確認
④会計システムに仕訳入力
② 経費精算書とは
営業担当が報告する経費精算書とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
4つのポイントに分けて説明していきます。
◆必要事項の記載
下記が経費精算書のサンプルです。
◆領収書の添付
領収書を2枚目などに添付することが多いです。
領収書にはプライベートでの支出の可能性がないよう個人名ではなく会社名を記入することが望まれます。
【例外】領収書がない場合
(取引先の結婚式や葬儀の慶弔金、公共交通機関の利用、取引先との食事で割り勘など)
なお、クレジットカードや電子マネーの利用明細や、公共交通機関のICカード、メールや請求書、(慶弔関係であれば)招待状または案内状など代わりの明細を証憑にする必要があります。
上記もないという場合には、以下のような出金伝票を作成することで代替することができます。
これらに共通することは、日付、支払先、金額、支払目的、支払内容が分かることです!
◆所属部署の上長承認
会社の業務上必要で購入したことを証明するために所属部署の上長承認欄を作成する必要があります。
◆毎月の締め切りを設定
支出した月の翌月3〜5営業日以内に経理部に提出などの締め切りを設定することが望ましいです。
📍POINT
4.仮払経費精算のフロー
仮払経費については以下の3つのポイントを抑える必要があります。
① 具体例
② 仮払経費申請書
③ 仮払経費精算書
以降で詳しく見ていきましょう。
① 具体例
①営業担当者が経理担当者に出張のための仮払経費申請書を申請
②経理担当者のあなたは100,000円を営業担当者に渡す
③経理担当者のあなたは会計システムに仮払金の処理を行う
④営業担当者は出張で飛行機や接待、宿泊などで87,800円を使用
⑤営業担当者は経理担当者に仮払経費精算書を報告し、差額の12,200円を返す
⑥経理担当者のあなたは会計システムに仮払金の振替処理を行う
毎月出張が多いビジネスマンにとって、毎月立替をすることが困難な場合があります。
このような場合、仮払経費が用いられることが多いです。
② 仮払経費申請書(仮払経費)とは
それでは、仮払経費申請書とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
3つのポイントに分けて説明していきます。
◆仮払申請は一定額以上に限定する
※ 一定額を1,000円程度としてしまうと、経理担当者のあなたの手間が増えるだけなのでおすすめできません。
◆所属部署の上長承認
◆仮払するときは申請書と交換
※ 営業担当者の中には、強気な人もいるため、申請書を領収書の代わりにしましょう。
📍POINT
③ 仮払経費精算書(仮払経費)とは
それでは、仮払経費精算書とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
3つのポイントに分けて説明していきます。
◆領収書の添付
◆仮払金と精算
※ 以下のように、用途が確定した仮払金を精算する仕訳を会計システムに入力する。
(借方)旅費交通費 87,320/(貸方)仮払金 100,000
交際費 30,000/ 現金 17,320
◆所属部署の上長承認
📍POINT
経費精算について、説明してきましたが、ここで質問です。
経費精算において欠かすことができないものは何だと思いますか?
答えは「領収書」です。
経費は会社の事業に関連して支出した費用であるため、経費精算においてはそれを証明する領収書が必要不可欠になります。
そのため、ここからは領収書についてご説明します。
5.経費精算するための領収書
領収書については以下の3つのポイントを抑える必要があります。
① 領収書とレシートの違い
② 領収書等の保存期間
③ 電子保存
以降で詳しく見ていきましょう。
① 領収書とレシートの違いとは
よく言われるのは、購入した明細の有無ですが、実はそれだけではないことをお伝えしたいです。
それは宛名の有無です。
あまり知られていないことですが、3万円未満の場合は「宛名」がないレシートでも可です。
ただし、3万円以上の場合は消費税法上「宛名」が必要なため、領収書でなければいけません。
※但し書きは品代ではなく具体的な内容を書いてもらう必要があります。
領収書を発行する際の注意点として、5万円以上の金額の場合は収入印紙を貼らなければなりません。
しかし、例外的に印紙を貼り忘れた領収書でも受け取っている場合があります。
また、昔ながらのレジを使っているお店では、レシートに金額と日付などしか書かれていない場合があります。このような場合は、領収書をもらった方が良いでしょう。
他にも、レシートは感熱紙で作られていることが多いので、注意が必要です。
感熱紙で作られたレシートは長期間経過すると、文字が見えなくなってしまう可能性があります。
そのため、印字面が内側になるように折るなど字が見えなくならないように工夫するか、普通紙にコピーするなどの対応が必要です。
② 領収書等の保存期間とは
いつでも探しやすくする必要があるので、年度別、月別にファイリングして保存することが大事です。
なお1番大事なことは、保存義務があるため7年間保存することです。
③ 電子保存(2022年1月改正)
既に知っているという方もいると思いますが、2022年1月から電子帳簿保存法が改正となりました。
次の2つを押さえておけば良いと思います。
◆紙でもらった領収書等
→電子保存または紙で保存すれば良いです。
◆電子取引による領収書等(例えば、アマゾンや楽天などECサイトで取引した場合)
→電子保存のみです!紙で保存はNGです。
※領収書データを印刷する際に改ざんされるリスクを防ぐ意図
📍POINT
次に、電子保存について具体的に見ていきましょう。
電子保存には以下の①〜③いずれかの要件と検索機能要件を満たす必要があります。
◆3つうち1つ満たすべき要件
① タイムスタンプ
→電子上で領収書の保存時刻を記録するシステムのことです。
※最近の会計クラウドシステムではタイムスタンプに対応しているものが多い
→領収書受領から2か月と7営業日以内にタイムスタンプ付与することです。
② データの削除・訂正記録が残るorできないシステム
→上記①のタイムスタンプは不要になります。
③ 事務処理規程
→訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付けを行う必要があります。
◆検索機能の確保
上記①〜③の要件にかかわらず、必ず必要です。
年月日・取引先・金額などが分かるようにしましょう。
(例)PDFのファイル名を「20220405_くろい商店_5,000円.pdf」とする。
📍POINT
レシートと領収書には宛名の違いがあることや、7年間の保存義務があること、電子保存には要件があることが大事です。
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経理業務は全体像がわかればもっと効率的に!
経理の仕事は、伝票起票や経費精算など細かな日次業務が多く、全体像を見失いがちです。
その結果「何のためにこの業務をしているんだろう」とモチベーションの低下に繋がることもあります。
そのため、経理の仕事は特に、常に全体像を捉えながら進めていかなければなりません。
イメージとしては日々の仕事を「点」ではなく「線」として捉えること。
毎日の仕訳にしても、何となく取引金額を入力するのではなく、自社や取引先の財政状態や経営成績を念頭に置いたうえで入力することが大切です。
こうすることで、自社が取引先・借入先に対して、適切に支払いができるのか、あるいは取引先・貸付先から適切に入金が行われるのかを、仕訳と同時に予測できます。
極端な例ですが、こうした「意識的」な仕訳を繰り返すことで、会社の経営状況が見えてきて、黒字倒産を未然に防ぐといったことも。
また、全体像を把握できていると、業務の優先順位を自ずとつけられるようになるので、仕事のスピードがぐっとあがっていきます。
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なぜCPAラーニングで実務の「基本」から「応用」まで理解できるのか
実務のプロセスを「理解」する
CPAラーニングの講義では、受講者のみなさまが実務の要点を暗記するのではなく、理解できるように心がけています。
なぜなら、実務の要点を丸暗記するのではなく正しく理解することで、CPAラーニングの講義を通して学んだことを、自らの業務にも落とし込むことができるからです。
経理実務講座を例に挙げると、日次業務、月次業務、年次業務の流れをただ説明するだけではありません。
その業務をなぜそのタイミングで行うのか、その業務によってどの様な影響が会社にもたらされるのかという点についての説明に重きを置いています。
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8.経費精算に関してよくある質問
経費精算とは何ですか?
経費精算とは、従業員が事業に関係する活動を行った際に支払った金額を、会社に申請して払い戻しを受けることです。
どのような消耗品費が経費になりますか?
取得価額が10万円未満または使用可能な期間(法定耐用年数)が1年未満の消耗品の購入費用が該当します。文具などだけではなく、PCなどの固定資産であっても上記の要件に該当するものの費用は経費として扱われます。
ただし、中小企業等の場合は取得価格が30万円未満の資産が特例で経費として扱われることがあります。
領収書はどのように保存しますか?
2022年1月から電子帳簿保存法が改正となりました。これに伴い、紙でもらった領収書は電子保存または紙で保存すればよいです。一方、ネット通販などの電子取引による領収書は電子保存のみ可能です。領収書データを印刷する際に改ざんされるリスクを防ぐため紙での保存はNGです。