ビジネス用語は似たような言葉が多く、コーポレートファイナンスといわれてもよくわからない人も多いのではないでしょうか。
コーポレートファイナンスは、会計の知識を深めていきたい、企業の経営に携わりたい、将来起業したい人に欠かせない財務活動を表す言葉の一つです。
本記事では、コーポレートファイナンスと企業価値の関係や企業価値を表す指標、資金調達の方法などをくわしく解説します。
目次
コーポレートファイナンスとは
コーポレートファイナンスは、直訳すると企業財務・企業金融となります。
企業価値を最大化するために、市場から資金の調達や事業への投資を検討し、実行することです。
また、金融市場や金融機関から財務活動中の事業に必要な資金を、調達するための活動を指す場合や、欧米系の金融機関では投資銀行業務の呼び名でもあります。
コーポレートファイナンスとプロジェクトファイナンスの違い
プロジェクトファイナンスは、一つのプロジェクトに対する投資や出資、融資などの計画や運用の方法を指します。
一方、コーポレートファイナンスは企業全体の投資や出資、融資などの計画や運用の方法を指すため、規模が違います。
コーポレートファイナンスと企業価値の関係
企業にとってのコーポレートファイナンスは企業価値を最大化することです。
投資家にとっては、企業価値から投資基準を判断することがコーポレートファイナンスとなります。
企業価値を高めるために、資金調達の計画を立てることは会社の経営を行うにあたって重要であり、出資や融資も受けやすくなります。
企業価値とは
企業価値とは、企業の経済的価値のことです。
企業が将来にわたって生み出すであろう純資産を意味します。
純資産は返済義務がなく自由に使える現金のことです。
企業価値を求める際に使用される指標
企業価値を求めるときに使用される指標は、NPV(Net Present Value)・DCF法(Discounted Cash Flow)・IRR(Internal Rate of Return)などがあります。
どのように企業価値を判断していく指標なのか具体的に見ていきましょう。
NPV
NPV(Net Present Value)は正味現在価値という意味です。投資した場合どれだけの利益を得られるかを判断する指標です。
将来のキャッシュフロー総額から、投資コストを引いて企業価値を算定します。
投資家や金融機関などが出資や融資を行うにあたり、投資額よりも将来の利益のほうが大きい場合は、価値があると判断されます。
DCF法
DCF(Discounted Cash Flow)は、割引キャッシュフローの略です。
将来のキャッシュフロー総額をWACC(Weighted Average Cost of Capital/加重平均資本コスト)で割り引いて算出します。
具体的に説明すると、現在の1,000円の価値と10年後の1,000円の価値は同じではありません。仮に金利が2%であれば、1年後には1,020円になります。
投資を検討する際は、資産の所有を続けたときに生まれるフリーキャッシュフローを割り引いて評価し、現在価値を判断する必要があります。
IRR
IRR(Internal Rate of Return)は内部収益率のことです。NPVがゼロになる割引率とも呼ばれています。
キャッシュフローを得られるまでの期間が短ければ、さらに投資を行うことで資金を増やせるチャンスです。
資金調達の方法
コーポレートファイナンスにおける資金調達の方法は、与信取引や在庫削減などの内部調達もありますが、ここでは外部調達の方法を解説します。
外部調達では、資本が増える場合と負債が増える場合があります。
新株や社債を発行する
新株や社債の発行は、金融機関を通さず直接市場から資金を調達する方法です。
新株を発行すると資本金が増えます。株主資本のメリットは返済義務がないことです。
新株を発行した当初に1,000円だったものが500円に下がった場合、基本的には投資家の自己責任となるため補償する必要はありません。一方、利益が出た場合は配当を行う必要があります。
新株の発行は資本金(もしくは資本準備金)が増え返済義務がないのでメリットが多く感じますが、株主は株主権を持ちます。
そのため、投資家や投資企業に経営者は経営権を奪われる恐れもあるため、慎重に行わなくてはなりません。
また、新株ではなく社債を発行する資金調達方法もあります。
直接投資家へ融資をお願いする方法ですが、株式と違い返済義務が生じます。
銀行からの借り入れとは違い、多少返済方法に自由が利くのはメリットでしょう。
社債は資本ではなく負債になります。
銀行から融資を受ける
金融機関を通して資金を調達する方法に証書貸付や手形貸付、手形割引・当座貸越などの融資があります。
融資は返済義務や利息が生じますが、銀行が強制的に経営に介入してくることはありません。
また、審査は厳しいですが融資を行うのは金融機関のため、多額の資金を一気に得られる可能性があることもメリットでしょう。
VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受ける
VC(ベンチャーキャピタル)とは、金融機関からの資金調達が難しい企業に対して投資をする企業のことです。
スタートアップ企業でも将来性があると認められれば出資を受けられる可能性があります。
銀行からの借り入れと違い、返済義務がないことがメリットです。
また、VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けていると、評価されている企業として注目を集めるので、資金調達のチャンスが広がるかもしれません。
個人投資家から出資を受ける
個人投資家の中にはエンジェル投資家と呼ばれる、起業したばかりの企業を見つけて投資している人も存在します。
金の卵と呼ばれるエンジェル投資家は、投資した企業が株式を上場した際のキャピタルゲインを得ることを目的としています。
個人投資家は多額の出資を受けることは困難ですが、銀行のように厳しい審査はありません。
個人投資家とのマッチングサービスなどもあるため、利用してみるといいでしょう。
助成金や補助金を活用する
主に国や地方自治体が行っている助成金や補助金を活用するのも、資金調達方法の一つです。
起業して間もない企業でも、対象であれば助成金や補助金を受けられます。
助成金は要件を満たせば受給できるもの、補助金はあらかじめ件数や金額が決まっているため、誰でも受けられるものではありません。
助成金や補助金を受けるには、さまざまな書類をそろえる必要があり、事務処理が増えるデメリットがあります。
また、補助金は後払いになるので注意しましょう。
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まとめ
コーポレートファイナンスとは、企業価値を高めることを目的とした資金調達のことです。
コーポレートファイナンスをしっかりと行えば、キャッシュフローが安定し、投資家からの評価もあがり、企業のさらなる発展が期待できます。
まずは将来性のある企業であることを示し、結果を残すことができれば、安定した経営を継続できるでしょう。
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