移動平均法の評価方法を解説!商品有高帳がわかれば簿記3級も怖くない

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売上原価の管理は、経営判断や戦略を立てるうえで、非常に大切なことです。棚卸資産がしっかりと管理されていないと、利益が把握できず、悪影響を及ぼします。

棚卸資産の原価計算の方法はさまざまですが、より正確な原価が算出できるといわれている移動平均法。

簿記3級や2級の試験問題としても、たびたび出題されています。

そこで今回は、移動平均法の考え方や計算例、メリット・デメリットなどをくわしく解説していきます。

移動平均法は簿記学習のほんの一部分です。
簿記学習について全般的なことが知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
簿記検定に合格するための正しい勉強方法とは?

1.移動平均法とは?

移動平均法とは、簿記における商品の評価方法の一つです。

商品を仕入れるたびに平均単価を計算するため、リアルタイムで仕入原価を算出し、精度の高い利益を導き出すことができます。

棚卸資産とは、一般的に「在庫」のことをいいます。棚卸資産という言葉は、貸借対照表や仕訳の際に使われることが多いです。

移動平均法を使った在庫を記帳するときは、商品有高帳という帳簿を記入します。

帳簿には主要簿と補助帳簿があり、商品有高帳は補助帳簿に分類されます。

2.商品有高帳とは?

移動平均法の考え方を解説する前に、商品有高帳とは何か学んでおきましょう。

⑴商品有高帳を作る目的

商品を仕入れて販売する場合、販売するまでに商品が社内に留まることになります。

この社内に留まっている商品を在庫と呼び、仕入れて在庫にすることを入庫、在庫を販売することを出庫といいます。

商品有高帳は、商品ごとに在庫数や仕入原価を把握するために作成する帳簿です。

先ほども少し触れましたが、経営状態を把握し戦略を立てるには、在庫の管理が欠かせません。欠品や過剰在庫がわかると、適正な在庫数を把握しやすくなります。

商品有高帳は決まったフォーマットなどがないため、各社でさまざまな様式があります。

記帳するのは、入出庫を行った日付、入庫および出庫した数量・単価・金額、商品の残高などが一般的です。

⑵商品有高はどのように求める?

商品有高は「数量×単価」で求めることができます。

しかし、同じ商品を仕入れても、金額は一定ではありません。そのため単価を決める基準が必要になります。

この単価を決める方法の一つが移動平均法なのです。

3.移動平均法の考え方

実務にはもちろんのこと、簿記検定でも役に立つ、移動平均法の考え方を見ていきましょう。

移動平均法は、単価の違う商品を仕入れるたびに、平均単価を計算します。

⑴移動平均法の公式

移動平均法の単価の求め方は以下のとおりです。

📍(受入棚卸資産取得原価+在庫棚卸資産金額)÷(受入棚卸資産数量+在庫棚卸資産数量)=平均単価

受入棚卸資産とは仕入れた商品の金額と数量、在庫棚卸資産とは現在の在庫の金額と数量のことです。

⑵移動平均法の計算例

「文字にされるとわかりにくい」という人も多いので、計算例を見ていきましょう。

📍期首を4/1とし、以下の通り3回の仕入れがあった場合

4/1 前月繰越100個、単価100円(仕入原価10,000円)

6/1 仕入100個、単価120円(仕入原価12,000円)

9/1 仕入150個、単価90円(仕入原価13,500円)

まずは6/1に移動平均法による計算を行います。

(12,000円+10,000円)÷(100個+100個)=110円

6/1時点での単価は110円となります。

続いて9/1に仕入をした分の移動平均法による計算を行います。

(13,500円+22,000円)÷(150個+200個)=101円

9/1時点での単価は101円となります。

このように仕入れの都度、単価を計算するのが移動平均法です。

本来であれば、仕入だけではなく売上があるので在庫は減少するため、在庫棚卸資産金額および数量から差し引いて計算します。

4.移動平均法のメリットとデメリット

移動平均法にはメリットとデメリットがあります。理解した上で活用するようにしましょう。

⑴移動平均法のメリット

仕入れをするたびに計算するため、リアルタイムで単価を把握することができるのが、移動平均法の最大のメリットといえるでしょう。

評価額がズレると経営にさまざまな影響を及ぼします。

⑵移動平均法のデメリット

リアルタイムで単価を算出するため、計算の手間がかかることがデメリットといえます。

とくに扱う商品の数や仕入れの回数が多いと、担当者は負担に感じるかもしれません。

在庫管理のシステム化や仕入れの担当者を配置するなど、人的負担を減らす努力が必要になるでしょう。

5.移動平均法以外の単価を捉える方法

商品有高帳の単価の捉え方は他にもあります。

移動平均法の他に、代表的な2つの捉え方を確認しておきましょう。

⑴先入先出法

先入先出法とは、その名の通り、先に仕入れた商品を先に出庫する方法です。

一番古い商品から順番に出していくため、例えば100円で仕入れた商品が100個、120円で仕入れた商品が100個ある場合、150個の注文があったときに、100円で仕入れた商品100個と120円で仕入れた商品50個を出庫します。

残りは120円で仕入れた商品が50個なので、単価は120円です。

⑵総平均法

移動平均法では、仕入れをするたびに単価の計算を行いますが、総平均法は一定期間をまとめて計算し、評価額を算出します。

6.簿記検定で移動平均法の問題は出題される?

結論からいうと、簿記検定では商品有高帳の問題が出題されます。

簿記3級と2級で出題形式が少し異なるようです。どのように出題されるケースが多いのか抑えておきましょう。

⑴簿記3級の場合

簿記3級の場合、商品有高帳の記入問題が出題される可能性があります。

単価の計算方法は、先入先出法と移動平均法が出題範囲です。

帳簿を眺めて丸暗記するのではなく、実際に帳簿に書き込み、問題に慣れるようにしましょう。

商品有高帳は、払い出しをする際、売価を書いてしまうというミスをする人が多くいます。

問題文には売価が記載されていますが、販売したときも原価を書くことを忘れないようにしましょう。

⑵簿記2級の場合

簿記2級の場合は、商品有高帳の記入がメインとして出題されることは少ないようです。

少ないといっても出題されないわけではなく、財務諸表を作成する過程において、商品有高帳から単価を求めるパターンでの出題が多く見られます。

簿記は合計が合っていなくても部分点がもらえますが、単価の算出を間違うと、その先の数字もすべて変わってしまうため、かなりの点数を落としてしまう可能性が高いので、気をつけましょう。

単価の計算方法は、先入先出法・移動平均法・総平均法が出題範囲です。簿記2級は、総平均法が増えますが、単価を計算する一定期間が決まっているだけで、算出方法は移動平均法とさほど変わらないため、つまずくことは少ないようです。

簿記3級同様に、問題を何度も解いて慣れるようにしましょう。

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7.まとめ

移動平均法での在庫管理は、経営に欠かせないものです。

リアルタイムで単価を把握できる反面、商品数が多い、在庫管理だけに時間を割ける人員がいないといったケースでは、負担になることもあります。

また、計算ミスが発生すると正確な単価が把握できないため、十分に注意が必要です。

実務では会計ソフトが自動で作成してくれることが多いですが、簿記試験の際には手書きで記載することになります。

仕組みを理解していても帳簿を眺めて丸暗記するだけでは、不十分です。

実際に帳簿を書き、何度も繰り返し問題を解くことで、小さなミスを減らすことができます。

簿記3級では実際に帳簿に記入する問題が出題される可能性があります。

また、簿記2級では財務諸表の作成の過程で問われることも。単価の算出を間違うと、当たり前ですが、最終的に求める利益の金額がズレてしまうため、注意してくださいね。

移動平均法に関してよくある質問

移動平均法とは?

移動平均法とは、簿記における商品の評価方法の一つです。移動平均法以外にも、総平均法や個別法、先入先出法などの、評価方法が存在します。

商品有高帳とは?

商品有高帳は、商品ごとに在庫数や仕入原価を把握するために作成する帳簿です。商品を把握することによって、適切な経営活動に寄与する場合があります。

移動平均法の問題を解くうえで、気を付けることは?

移動平均法は、総平均法、先入先出法に比べ、計算ミスを起こしやすいです。そのため問題を解く際には、検算などをおこなうことをおすすめします。

この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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