手付金や内金は、日常生活で買い物をしたときにも耳にする言葉ですよね。
前もって支払うまたは受け取るお金ですが、簿記ではどのような勘定科目を使って処理されるのでしょうか。
簿記検定でも手付金の問題はよく出題されます。
そこで今回は、手付金の意味や内金との違い、簿記の仕訳方法などをくわしく解説していきます。
前払金や前受金と間違いやすい勘定科目もご紹介するので「似たような勘定科目が多くて違いがわからない」という人もチェックしてみてください。
目次
手付金とは?
簿記検定の仕訳問題でもよく目にする手付金。
まずは、手付金の意味と内金との違いをチェックしておきましょう。
手付金の意味
手付金とは、商品などの売買をする際に、代金の一部を先に支払ったり受け取ったりするお金のことです。
手付金と内金の違い
手付金のことを、内金と呼ぶこともありますが、厳密には意味が違います。
手付金は契約の解除ができますが、内金はキャンセルしないことを前提とし、購入時に商品代金の一部として支払うお金のことをいいます。
そのため、本来手付金は商品の購入の約束を果たすためのお金であることから、契約成立の際は全額返還することが正しいですが、手付金を支払う場合も、面倒な手続きを失くすために「商品購入の際に内金として充当する」という決まりを契約時に記載することがほとんどです。
簿記では前受金と前払金
簿記では「手付金」「内金」と問題文に記載がありますが、こちらは勘定科目ではありません。
手付金を受け取ったときと支払ったときの勘定科目を見てきましょう。
手付金を受け取ったときは前受金
手付金を受け取る側が使用する勘定科目は「前受金」となります。
前受金は負債として扱います。
手付金を支払ったときは前払金
手付金を支払う側が使用する勘定科目は「前払金」となります。前渡金と呼ぶこともあります。
前払金は資産として扱います。
手付金の仕訳
簿記3級の仕訳問題でも出題される、手付金の仕訳方法を見ていきましょう。
ただ暗記するのではなく、資産・負債の増減を理解すれば、仕訳のミスを防げますよ。
前受金の仕訳方法
📍手付金として、1,000円受け取ったときの仕訳
現金 1,000円/前受金 1,000円
現金を受け取ったことで資産が増加、商品を売るために現金をあらかじめ得たことから、前受金という負債も増加します。
前払金の仕訳方法
📍手付金として、1,000円支払ったときの仕訳
前払金 1,000円/現金 1,000円
商品を買うために現金をあらかじめ得たので、前払金という資産の増加、現金で支払ったため資産の減少が発生します。
手付金ありの商品を受け取る・渡すときの仕訳方法
手付金ありの商品を受け取るまたは渡すときは、一般的に商品代金の一部となることが多く、簿記検定の問題でも手付金を差し引いて残りの代金を支払った、受け取ったという出題方法がほとんどです。
仕訳方法をチェックしておきましょう。
前受金の仕訳方法
📍商品が入荷し10,000円で売り上げ、手付金1,000円を差し引いた残金を現金で受け取った場合の仕訳
前受金 1,000円/売上 10,000円
現金 9,000円/
商品を売り上げたため、義務がなくなり負債の減少となり、手付金は相殺されます。
残金は現金で受け取ったため資産の増加、商品を売り上げたため収益も増加となります。
前払金の仕訳方法
📍商品が入荷し10,000円で仕入れ、手付金1,000円を差し引いた残金を現金で支払った場合の仕訳
仕入 10,000円/前払金 1,000円
/現金 9,000円
商品を仕入れたため、権利がなくなり資産の減少となり、手付金は相殺されます。
残金は現金で支払ったため資産の減少、商品を仕入れたため費用の増加となります。
建物など有形固定資産は手付金ではなく建設仮勘定
建物や機械などの土地を除く有形固定資産を取得するために先に支払ったものは、前払金ではなく「建設仮勘定」という勘定科目を使用します。
前払金は流動資産となるため、固定資産の処理には原則使用しない方がいいでしょう。
建設仮勘定は、建物が完成した際に、建物勘定に振り替えます。
本来であれば、商品の受け渡しの際に代金を支払いますが、建物の完成には時間を要します。完成まで代金が受け取れないことになると、建設会社の資金繰りが悪化してしまうのです。
そのため、金額が大きい、完成までの期間が長いものに関しては、工事の進行に応じて代金を支払う契約をすることが基本となっています。
建設仮勘定の仕訳は以下の通りです。
📍新しい店舗の建物を建設するため、代金の一部として1,000,000円を小切手を振り出して支払った場合
建設仮勘定 1,000,000円/当座預金 1,000,000円
📍上記の建物が完成し、残金の5,000,000円を小切手を振り出して支払った場合
建物 6,000,000円/当座預金 5,000,000円
/建設仮勘定 1,000,000円
完成したときに、建設仮勘定は建物に振り替えます。
手付金と似ている勘定科目との違い
簿記には手付金(前受金・前払金)と似ている勘定科目がいくつかあります。
混乱しないように、違いを覚えておきましょう。
前受収益・前払費用
前受収益と前払費用は、同じく先に受け取ったり、支払ったりするものですが、違いは「継続されるか」ということです。
商品の売買や一時的なサービスに対するものは、前受金・前払金です。
保険料や家賃などは、継続して発生するため、前受収益・前払費用が使われます。1年以上に渡って継続されるものは、長期前払費用として処理します。
仮受金・仮払金
仮受金・仮払金は、入金や出金の理由が不明であったり、使用目的は決まっていても金額が決まっていない場合に一時的に使用したりする勘定科目です。
仮受金・仮払金は、内容がわかったら、すぐに正しい勘定科目へ振り返る義務があります。
簿記3級で出題される手付金の問題で気をつけたいこと
簿記3級では、主に仕訳問題などで手付金の問題がよく出題されます。
簿記検定の問題文では、手付金と書かれていますが、手付金という勘定科目はないため、前受金や前払金で処理することをしっかりと覚えておきましょう。
後日、商品の受け渡しが行われた際に、売上または仕入に振り替えることを覚えておけば問題ありません。
建設仮勘定など他の問題では手付金という言葉が使われることはほとんどないため、勘定科目に迷うことはないでしょう。
簿記3級から1級まで学ぶならCPAラーニング!完全無料なのに合格者が続出する理由とは!?
学習費用は0円!CPAラーニングで簿記検定に合格しよう
「経理の仕事で簿記の知識が必要だが、独学では勉強が続かない」
「転職活動のために簿記資格を取得したいが、どの様に勉強すればよいかわからない」
このように、簿記の資格を取得しようと考えているが、あと一歩踏み出せず簿記の学習を開始できないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方には、CPAラーニングの簿記講座がおすすめです。
CPAラーニングは、簿記や経理実務などの800本以上の講義が無料で見放題のeラーニングサイトです。
CPAラーニングの簿記講座では、3級から1級までの講義の受講やテキスト、模擬試験までもがすべて無料で利用することができます。
つまり、学習費用が0円で、簿記検定の合格まで目指すことができるのです。
CPAラーニングの利用は、ローリスク・ハイリターンであるため、気軽に簿記の学習を始めることができます。
なぜCPAラーニングの簿記講座で合格できるのか
簿記の知識を正しく「理解」できる
「テキストの問題を何回も解いたのに、試験の問題は解くことができなかった。」
簿記検定に関わらず、今までこのような体験をした方も多いのではないでしょうか。
その原因としては、解答に必要な知識を「理解」せずに、ただ暗記していたことにあります。
CPAラーニングの簿記講座では、問題の解き方だけでなく、なぜそのような処理となるのか、なぜその勘定科目が発生するのかというところまで説明します。
そのため、講義で説明された論点の会計処理について「理解」することができ、試験の問題にも対応することができます。
講師が公認会計士またはプロの実務家
CPAラーニングの講義は、公認会計士やプロの実務家などが担当しています。
公認会計士には、大手公認会計士資格スクール(CPA会計学院)の講師も含まれており、解説のわかりやすさには、定評があります。
また、プロの実務家の講師は、業界の最前線で活躍してきた方々なので、具体的な業務に結びつけた解説が「理解」の手助けとなります。
スキマ時間に勉強しやすい
CPAラーニングなら、お手持ちのスマートフォンやタブレットで学習が完結します。
最近リリースされた公式アプリでは、講義動画のダウンロード・オフライン再生が実装されました。
これにより、いつもの通勤・通学時間を活用して、効率的に学習を進めることができます。
CPAラーニングが完全無料で利用できる理由
CPAラーニングは、「日本の会計リテラシーを底上げしたい」という思いから始まったサービスです。
より多くの方にご利用いただきたく無料でご提供しております。
そのため、CPAラーニングのすべてのコンテンツ(講義の視聴、テキスト・レジュメのダウンロード、模擬試験など)が完全無料で利用できます。
登録受講者数は40万人を突破
CPAラーニングの登録受講者数は40万人を突破しました。
「CPAラーニングを使って簿記に合格しました!!」という喜びの声をX(旧Twitter)で日々頂いています。
CPAラーニングで簿記検定に合格した方の声
メールアドレス登録だけで全コンテンツが利用可能
CPAラーニングは、メールアドレス登録だけで、全てのコンテンツをすぐに利用することができます。
課金や、機能制限などはございません。
「簿記の学習を今すぐ始めたい」「簿記の勉強を始めるべきかずっと悩んでいる」とお考えの方はCPAラーニングをぜひご利用ください。
このコラムを読んでいるあなたにおすすめのコース
まとめ
手付金は、受け取ったときは前受金、支払ったときは前払金で処理を行います。
前受金や前払金は、本来であれば商品の受け渡しの際に、全額返すという意味がありますが、面倒な作業を簡素化するため、代金の一部とするのが一般的です。
そのため、簿記検定でも手付金を内金して、残高を支払った仕訳を問われます。
固定資産の場合は、手付金ではなく、建設仮勘定です。また、決算にかかわる仕訳では、保険料や家賃など継続して発生するものを処理するために、前受収益や前払費用が使用されます。混在しないように注意しましょう。
手付金に関してよくある質問
手付金とは?
手付金とは、商品などの売買をする際に、代金の一部を先に支払ったり受け取ったりするお金のことです。
手付金を受け取ったときの勘定科目は?
手付金を受け取る側が使用する勘定科目は「前受金」となります。
前受金は負債として扱います。
手付金を支払ったときの勘定科目は?
手付金を支払う側が使用する勘定科目は「前払金」となります。前渡金と呼ぶこともあります。
前払金は資産として扱います。