簿記3級のネット試験は難しい?統一試験との違いやネット試験のメリットも

電卓と紙の画像です

全国のさまざまなテストセンターで行われている簿記3級の試験。

パソコンの操作に慣れていない人や、今まで紙に記入する統一試験を受けていた人は「難しいかもしれない」と不安になりますよね。

しかし、ネット試験は身構える必要はなく、メリットも多いと好評で、受験者も増加傾向にあります。

簿記3級のネット試験の難易度や統一試験の違いをご紹介します。

簿記3級のネット試験は難しい?

2020年の12月から始まったネット試験。

従来の紙に記入する統一試験に慣れている人は、インターネット上で答えるネット試験のほうが難しいのではないかと不安に思うこともあるでしょう。

簿記3級のネット試験は、普段からパソコンの操作を行っている人にとって、問題なくこなせる試験です。

しかし、もし難易度や合格率が違うのであれば、できるだけ受かりやすいほうを選択したい人も多いのではないでしょうか。

統一試験とネット試験の難易度や合格率を見ていきましょう。

統一試験と難易度は違うの?

結論からいうと、統一試験とネット試験の難易度は、基本的に同じです。

簿記3級の試験時間は60分。

統一試験と同じく、第1問では仕訳問題、第2問では補助簿などの問題、第3問では総合問題が出題されます。

第1問と第2問は、統一試験・ネット試験ともに、出題範囲に大きな違いはありません。

第3問も出題範囲は変わらず、大きく異なる点はありません。しかし、ネット試験のほうが少し易しいといわれています。

統一試験のほうが問題用紙に書き込めるため、計算などがしやすいことから、ネット試験の計算問題はやや簡単になっているのも理由の一つ。

また、ネット試験ではパソコンの操作の負荷に加えて、ネットでのトラブルを想定し、複雑な計算問題が少ない傾向にあります。

簿記3級のネット試験の合格率

簿記3級のネット試験の合格率は、2020年度が41.0%、2021年度が41.0%、2022年度が41.2%となっています。

(参考:日本商工会議所「【日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験】受験者データを掲載しました」

ネット試験は、受験者数も増加傾向にあります。

テストセンターで空きがあればいつでも受験ができるため、早く資格を取得したい人や忙しい人にとってもスケジュールを組みやすいからです。

ネット試験と統一試験の違い

ネット試験と統一試験の難易度は、ほぼ相違ないことがわかりましたが、ほかにも違いはあるのでしょうか。

難易度のほかにも、自身にとって試験に合格しやすい環境で受験できるほうを選択したいですよね。

ネット試験と統一試験の合格率の違いやネット試験に必要な持ち物、受験するまでの流れを具体的に見ていきましょう。

合格率

先ほどご説明のとおり、簿記3級のネット試験の合格率は、2020年度が41.0%、2021年度が41.0%、2022年度が41.2%。

一方、統一試験では、161回(2022年6月)が45.8%、162回(2022年11月)が30.2%、163回(2023年2月)が36.5%です。

(参考:日本商工会議所「3級受験者データ(統一試験)」

統一試験の合格率は、平均するとネット試験の合格率とほとんど変わりません。しかし高いと50%を超え、低いときは30%を切ることもあるなど、開催回によって差があります。

ネット試験に必要な持ち物

ネット試験に必要な持ち物は「身分証明書」と「電卓」のみです。

計算に必要な筆記用具は試験会場に用意されており、不正防止のため貸し出しになっています。

統一試験では、計算にそろばんの使用が認められていましたが、ネット試験では原則電卓を使用しなくてはなりません。

統一試験と同じく、電卓は関数計算や特殊な計算機能がついているものは使用できません。辞書機能がついている電卓やスマホ、タブレットの電卓もNGです。

受験する流れ

ネット試験の申し込みは、専用サイトのCBTSで会員登録を行い、受験地・試験日時を選択し、受験の予約をします。

日程の変更などは、試験会場ごとに定められた期限まで行えますが、一度予約したものをキャンセルすると、手数料が発生するため気をつけましょう。

簿記3級の受験料は2,850円と事務手数料が550円。支払いはクレジットカード、コンビニエンスストア、Pay-easy(ペイジー)決済が選択できます。

試験の当日は、時間に余裕をもって会場に着くようにしましょう。5分前までに受付を済ませる必要があります。

受付では本人確認書を提示し、身分証明書と電卓以外は鍵付きのロッカーへ預けましょう。

計算用の筆記用具とメモ用紙を受け取り、試験室へ入室します。

席に着いたら、パソコンに受付でもらったIDとパスワードを入力し、試験スタート。

試験中にパソコンの不具合があった場合は、すぐに試験官に伝えましょう。

合否の確認画面が出たら試験官を呼び、スコアレポートを受け取ったら試験終了です。

簿記3級をネットで受けるメリット

初めて受験する人にとっては不安が大きいため、「難易度は一緒なので、どちらで受けても一緒なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実はメリットが多いネット試験。

統一試験よりも受けやすく、計画的に勉強を行うのが苦手な人や勉強時間が限られている人にもおすすめです。

簿記3級をネット試験で受けるメリットを確認しましょう。

統一試験と比べて試験を受けやすい

簿記3級の統一試験は年に3回の開催ですが、ネット試験は統一試験の前後をのぞき、テストセンターが定める日にちで、いつでも受験が可能です。

統一試験の場合は、だいたいの人が試験日から逆算して、勉強のスケジュールを決めます。

しかし、時間が足りず勉強不足のまま受験日を迎えてしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。

ネット試験であれば、勉強が終わったときに試験の申し込みをすればすぐに受験ができるため、スケジュールを立てやすいのがメリットのひとつといえます。

できるだけ早く合格したい人にも、いつでも受験できるネット試験がおすすめです。

合否がすぐわかる

統一試験は、結果が出るまでに時間がかかりますが、ネット試験はその場で合否がすぐにわかります。

万が一、不合格の場合でも、すぐに試験対策が可能。

また、合格の場合は、上位級の勉強にすぐに取りかかれます。

ブランクなく、次のステップに進めるのはネット試験のメリットといえるでしょう。

履歴書にもすぐに書くことができるため、就職・転職活動中の人にとって便利ですね。

受験の機会が増える

不合格だった場合、試験の翌日から最短で3日後には再度受験がかないます。

ほぼ毎日開催しているテストセンターもあるため、すぐに次の受験の予定を立てられるのもメリットでしょう。

統一試験は、次の試験を数か月待っている間に、学習した内容を忘れてしまう恐れが考えられます。

簿記3級を統一試験で受けるデメリット

パソコンの操作が苦手、ペーパー試験に慣れているなどの理由で、統一試験を選択するのは悪いことではありません。

ネット試験の場合、いつでも受験できる安心感から、勉強に身が入らないこともあるでしょう。この場合、試験日が決まっているほうが、集中力が高まります。

しかし、ネット試験に比べると、不便に感じることも。

簿記3級をネット試験で受けるのは不安なため、統一試験で受験したいと考えている人は、デメリットも理解したうえで受験しましょう。

試験が年に3回しかない

簿記3級の統一試験は、6月・11月・2月の年3回しかありません。

社会人であれば、いつも仕事の繁忙期と重なってしまう、シフト制のため日曜日に休みを取るのが難しい場合もあるでしょう。

計画的に学習できる、期日が決まっているほうがやる気が出る人には統一試験はおすすめですが、忙しい人にとってスケジュールが立てやすいのはネット試験のほうです。

合否に時間がかかる

統一試験は合否までに、時間がかかります。

商工会議所によって合否発表日は異なり、簿記3級の場合は結果がわかるまで3週間前後です。

ネット試験のほうが、その場で合否がわかるため、万が一不合格でもすぐに試験対策を行い、再度受験をする計画が立てられます。

しかし、ネット試験の場合、もらえるスコアシートは点数のみの記載です。そのため、計算などで利用したメモを持ち帰ることができず、自己採点ができません。

また、同じ会場で複数人が受験をしていても、違う問題が出題されています。

ネット試験に何度も落ちてしまい、自分が何を間違えているのかわからない人は、答え合わせができる統一試験を受けてみるといいかもしれませんね。

ネット試験に比べ合格率が安定していない

先ほどもご紹介のとおり、ネット試験の合格率は安定していますが、統一試験は開催回によってばらつきがあります。

統一試験も合格率を平均すると、ネット試験とほとんど変わりませんが、低いときは30%を切ることも。

簿記3級の試験は常に70点以上で合格と決められているため、合格率が低い回は難易度の高い問題が出題されたことが予測できます。

ネット試験のほうが難問の出題を避けられるかもしれません。

(参考:日本商工会議所「3級受験者データ(統一試験)」

簿記3級に合格するための勉強法は?

簿記の入門編といっても、しっかりと学習しなければ合格できない簿記3級。

初めて簿記に触れる人は、慣れない専門用語に苦戦する場合もあります。

簿記3級に合格するには、どのような勉強をしたらいいのか見ていきましょう。

テキストを何度も読む

まずはテキストを何度も読みましょう。

テキストをさらっと読み流して、問題を解くことで慣れようとする人もいます。しかし、簿記は暗記するだけではなく、意味を理解しなくては解けない問題が多いのが特徴です。

そのため、まずはテキストをしっかりと読み、簿記の基礎知識を頭にたたき込むのが大切。

最初は細かく確認するのではなく全体的に読み、2回目、3回目と繰り返すときに、理解できなかった部分を重点的に読み直していきましょう。

テキストの末尾に記載が多い練習問題を解きながら進めるのもおすすめです。

問題集を回転させる

テキストを熟読したら、問題にチャレンジしましょう。

実際に問題を解くことで、さらに記憶が定着していきます。

間違えた部分は放置せず、テキストを読み直し、解けるまで行ってください。

問題が解けると誰でもうれしいため、得意な分野を伸ばそうとしてしまいがちです。

しかし、簿記は苦手分野を作らないことが重要。

簿記2級など上位級を目指したい人は、簿記3級のうちに苦手な部分を克服しておきましょう。

過去問を解く

問題集を繰り返して行った後は、本番同様に時間制限を設けて、過去問題を解いてみましょう。

また、実際の試験では過去問と似たような問題は出題されますが、すでに出題された問題であることから、まったく同じ勘定科目や数値が使用されることはありません。

そのため、過去問で出題パターンや出題頻度の高い問題を把握しつつ、試験予測問題も併せて活用すると効率のいい勉強ができます。

簿記3級は独学でも合格できる?

簿記3級は独学でも目指せる資格です。

簿記の入門編のため、学生時代に商業科で簿記の勉強をした、経理関係の仕事に就いているなどの場合は、独学でも学習が進めやすいでしょう。

しかし、簿記初心者は慣れない専門用語や仕訳のルール、勘定科目が覚えられず苦戦するケースも。

簿記にまったく触れたことがない人は、専門用語もわかりやすく解説しているテキストを選ぶといいでしょう。

文字だけではなく、図解がわかりやすいテキストを選ぶのも重要なポイントの一つです。

簿記3級の試験内容

簿記3級では、商業簿記の問題が第1問から第3問まで出題されます。ネット試験も統一試験も同じです。

第1問では仕訳問題、第2問では補助簿の作成や勘定記入などの問題、第3問では決算整理の総合問題が出題されます。

それぞれどのような問題が出題されるのか、詳細を見ていきましょう。

第1問

第1問の配点は45点。仕訳問題が15題となっています。

使用する勘定科目は決められているため、仕訳の仕組みを理解していればすぐに解ける問題です。

配点も高いため、ケアレスミスに注意し、なるべく時間をかけずにしましょう。

仕訳はたくさんの問題を解いて、勘定科目や仕訳パターンを覚えることが合格への近道です。

第2問

第2問の配点は20点。補助簿の作成や勘定記入などの問題が出題されます。

帳簿は主要簿と補助簿に分類され、主要簿は総勘定元帳や仕訳帳のこと。

補助簿は現金出納帳や固定資産台帳など、必要に応じて記入を行い、主要簿の詳細を記録する役割があります。

第2問では商品有高帳の出題が多いため、勉強しておきましょう。

また、文章の穴埋め問題や選択問題が出題されることも。

第2問は、過去に出題されたことのない新しい問題が出題される傾向もあるので、予測できないことも多く、試験対策が難しいのが特徴です。

しかし、基礎知識があれば解ける問題なので、焦らず解答しましょう。

第3問

第3問の配点は35点。貸借対照表や損益計算書をはじめ、精算表、決算整理前残高試算表など、決算整理にかかわる総合問題が出題されます。

毎度似たようなパターンで出題されますが、応用力を必要とするため、こちらも繰り返し問題を解き、慣れていきましょう。

複数の仕訳からはじまり、決算整理をしていくため、最初の仕訳や転記でミスをしてしまうと、最後まで影響してしまうことも考えられます。

部分点はもらえるため、完璧にできていなくても点数は取れます。

制限時間はありますが、時間も気にしつつ、焦らず一つずつこなしましょう。

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まとめ

簿記3級のネット試験は、統一試験と難易度は変わりません。合格率も平均すると同じくらいになっています。

ネット試験は、基本的にいつでも受験可能。合否がすぐにわかることから、受験者にメリットも多い試験方法です。

統一試験は年に3回しかないため、計画的に勉強しなくてはいけませんが、ネット試験は、申し込み後に変更可能期間であれば、試験日をずらすこともできます。

勉強不足であると感じるときは、試験日の延長もできるのはうれしいですよね。

簿記3級は独学でも合格を目指せる資格です。

しかし、経理などの実務経験もなく、初めて簿記試験にチャレンジする人の中には、、専門用語や仕訳方法につまずいてしまうこともあるでしょう。

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この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

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簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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