簿記1級の合格率が知りたい!取得するメリットや勉強時間はどのくらいかかる?

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簿記2級を取得すると「こんなにたくさん勉強したのだから、忘れないうちに簿記1級も目指したい!」と考える人も多いのではないでしょうか。

簿記3級から2級も工業簿記という科目が増えて難易度が上がりましたが、簿記1級はどのくらいの難易度なのか気になりますよね。

そこで今回は、簿記1級の出題範囲や試験時間、気になる合格率の他に、取得した際に与えられる資格やメリットなどをくわしくご紹介します。

目次

1.簿記1級とは?

簿記の資格には3種類ありますが、簿記1級とは一般的に日本商工会議所が主催している日商簿記検定1級のことを指します。

残りの2つは、全経簿記(全国経理教育教育協会主催)と全商簿記(全国商業高等学校協会主催)です。

簿記1級は、非常に難易度の高い資格といわれており、深く広い会計知識が求められる資格。

まずは、簿記1級の出題範囲や試験時間をくわしく見ていきましょう。

⑴簿記1級の出題範囲や試験時間

簿記1級は、「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目があります。

簿記2級でも「商業簿記」「工業簿記」がありましたが、さらに深い知識が求められます。

「会計学」は主に大企業の会計処理で必要な知識を問われ、「原価計算」は製品の原価を計算するための知識が必要となります。

試験時間は、商業簿記・会計学で90分、工業簿記・原価計算で90分の合計180分です。途中で休憩があります。

商業簿記・会計学は、仕訳や財務諸表、穴埋め問題、○×問題などですが、工業簿記・原価計算は1問で出した答えを基に回答していくため、最初を間違えてしまうと点数が総崩れになる場合もあります。

1科目の配点は25点。合格には70%以上の点数が必要です。

さらに1科目ごとに40%以上の正答率がないと、70%以上の点数を取っても不合格となります。苦手科目があると合格できないシステムになっているため、幅広い知識が必要なのです。

また、簿記1級では合格率を調整するために、傾斜配点という採点基準が設けられているといわれています。

合格率を調整するため、正答率の高い問題の配点を上げることがあるのです。つまり、難しい問題を解けたからといって必ず合格するというわけではありません。

⑵簿記1級はペーパーテストのみ

簿記2級や3級は、ネット試験がありますが、簿記1級はペーパーテストのみです。

試験日は年2回。6月と11月に開催されます。2月も簿記試験の開催はありますが、2級と3級のみのため注意してください。

2.簿記1級の合格率

簿記1級は、社会保険労務士や中小企業診断士、一級建築士と同じくらいの偏差値が必要といわれています。

簿記1級の難易度が高いことはわかりましたが、合格率はどのくらいなのでしょうか。

⑴簿記1級の合格率は低い

簿記1級の合格率は10%前後です。10%以下になることも珍しくなく、人数にすると1,000名程度となります。

⑵簿記1級を取得すると与えられる資格

簿記1級は取得すると与えられる資格があります。

📍税理士試験の受験資格が与えられる

簿記1級を取得すると、税理士試験を受験することができます。

税理士試験を受験するには条件があり、大学で単位を取得、会計に関する事務や税理士などの補助事務に2年以上従事、司法試験合格者など、誰もが受けられる資格ではありません。

社会人になってから税理士を目指す場合、すでに条件をクリアすることが難しいものも多いですが、簿記1級の取得は働きながらでも取得することは可能です。

2023年度の税理士試験からは、会計学に関する試験科目(簿記論・財務諸表論)については受験の制限がなくなるため、誰でも受験することができます。

税法に関する科目(所得税法・法人税法・相続税法・消費税法または酒税法・国税徴収法・住民税または事業税・固定資産税)については、従来通り簿記1級の取得や学識、職歴などの条件を一つ満たさなくてはいけません。

📍職業能力開発促進法の指導員試験資格で科目免除がある

職業能力開発促進法の指導員試験資格を受験する場合、事務科の試験科目の一部が免除されます。

📍大学の推薦入学に有利になる

大学の推薦入学の際も、簿記1級は評価されます。実際に資格保持者に対して優遇がある大学があります。

3.簿記2級、簿記3級の合格率は?

簿記2級の合格率は20%前後、簿記3級の合格率は50%前後となっています。

他の級とくらべてみても、簿記1級の難易度が高いことがわかりますね。

4.簿記1級を取得するメリット

簿記1級の合格は狭き門といわれていますが、取得するとうれしいことがたくさん。

どのようなメリットがあるのかチェックしていきましょう。

⑴就職・転職の際にアピールできる

簿記1級と履歴書に記載してあるだけで、何も言わなくても会計のプロフェッショナルであることがアピールできます。

面接の前に書類選考が行われる場合、目に止まる資格なので、会ってもらえる可能性が高まることでしょう。

⑵税理士試験が受けられる

先ほどもご紹介の通り、簿記1級を取得すると税理士試験の受験資格が与えられます。

税理士試験の受験資格は他にもありますが、社会人になってから目指す場合、条件を満たすことが難しいものも。他の条件を満たせなくても、簿記1級の取得は勉強を頑張れば叶えられるかもしれません。

⑶独立したいときにも役立つ

会計や財務の知識は、経営に役立ちます。

独立したいという場合は簿記1級を取得しておくと、スムーズな取引ができ、税理士に頼らなくても確定申告も行えます。

⑷資格手当がつく可能性がある

簿記1級の取得は、独立せず企業に所属していてもメリットを得られる可能性が。

簿記1級は評価が高いため、資格手当がもらえたり、昇進や昇給につながったりすることもありますよ。

以下の記事では、簿記1級を取得することによるメリットがより詳細に解説されています。簿記1級を取得しようとお考えの方は是非参考にしてみてください。
簿記1級は意味がない?簿記1級を取得するメリットが大きい人と小さい人について解説!

5.簿記1級に合格するにはどのくらい勉強すればいい?

簿記1級に合格するには、500〜2,000時間の勉強が必要とされています。

随分と幅がありますが、知識や経験の差があるからです。

まず、簿記1級は2級と3級の知識があることが前提とされています。まったく簿記を勉強していない初心者の場合、3級の知識を得るまでに50時間前後、2級の知識を得るまでに100時間前後と、1級の勉強に取り掛かるまでの準備時間もかかります。

また、すでに簿記2級まで取得している人でも、一日数時間まとめて勉強に集中する時間が取れる人と、通勤や休憩などの隙間時間を利用して勉強する人とでは差が出てきます。

さらに、独学・通信講座・スクールに通うなど、勉強方法によっても時間が変わってきます。

以下の記事では、簿記1級の勉強方法のコツについて紹介しています。簿記1級の勉強方針が定まらないなどの悩みを抱えている方は是非参考にしてみてください。
日商簿記1級 全国1位合格の藤木さんに勉強方法のコツを聞いてみた!

6.独学でも簿記1級は取得できる?

簿記2級までは独学で勉強したという人も多いのではないでしょうか。

独学は、勉強する費用を最小限に抑えることができ、自分のペースで行えるのでいいですよね。

簿記1級も独学で取得できない資格ではありませんが、求められているレベルがかなり高いため、かなり難しいといわれています。

その理由を見ていきましょう。

⑴テキスト選びが難しい

独学の場合は、当たり前ですがテキスト選びを自分で行わなくてはいけません。

口コミなどで情報を得ても、人気だからといって自分にとってわかりやすいテキストとは限りません。

それでも独学で簿記1級の取得を目指すという方に向けて、以下の記事で簿記1級のおすすめテキストを5つ紹介しておりますので、是非テキスト選びの参考にしてみてください。
簿記1級におすすめのテキスト5選!今は1級も無料で勉強できる時代

⑵自分だけでは理解できないことも

実際に仕事で会計や財務、経理に携わっている人でも、簿記1級の問題は難問です。

テキストや答えの解説を見ても、理解できずに先に進めなくなってしまうこともあります。

⑶勉強時間が長いため挫折する可能性も高い

独学は自分のペースで進められますが、簿記1級の試験範囲は膨大で、最短でも500時間勉強することを考えると、2年間前後という長い期間、自分でモチベーションを維持しなくてはなりません。

通信講座やスクールであればある程度拘束されるため、モチベーションが維持できたり、「高い費用をかけて勉強をしているのだから絶対に合格する」と思えたり、一緒に簿記1級を目指す仲間ができることもあるので、長時間の勉強も乗り切れる可能性が高まります。

⑷満遍なく全科目を理解する必要がある

簿記1級は、1科目ごとに40%以上の正答率がないと、全体で70%以上の点数を取っても不合格となります。

そのため、全科目をしっかりと勉強する必要があり、得意な科目だけを重点的にやっても意味がありません。

全科目を満遍なく理解して、試験の傾向などをつかむには、独学ではなく通信講座やスクールの方が適しているといえます。

7.いきなり簿記1級から受けられる?

簿記1級に受験資格はありません。

もちろん簿記2級も3級も、学歴や実務経験などは必要がないため、どの級からでも受験することができます。

ただし、簿記1級はご紹介してきた通り、かなり難易度の高い資格です。いきなり受験する人はほとんどいません。

まずは、簿記2級までの知識をしっかりと習得することが大切です。

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9.まとめ

簿記1級の合格率はとても低く、難易度が高いことが一目瞭然。しかし、独学でも努力次第で合格は可能な資格です。

簿記1級に合格すれば、会計のプロフェッショナルとして認められ、さまざまなメリットがあります。

就職や転職、そして独立して起業する場合もさまざまなシーンで役に立ちます。

経理に関する仕事についていない人でも、取得して損はしない資格です。

お金に関する知識が増えるため、仕事だけではなく資産形成など日常生活のお金のやりくりも上手になるかもしれません。

勉強時間は長く、モチベーションを維持するだけでも大変ですが、独学だけにこだわらず、通信講座やスクールも利用してみるといいでしょう。

キャリアアップしたい、転職したい、税理士を目指したいなど目標がある方は、怖がらずにぜひチャレンジしてみてくださいね。

簿記1級合格率に関してよくある質問

簿記1級の合格率はどのくらいですか?

簿記1級の合格率は10%前後です。10%以下になることも珍しくなく、人数にすると1,000名程度となります。

簿記1級を取得するメリットは何ですか?

  • 就職に有利:簿記1級を取得していることは、経理や財務関連の職種に就くための資格として高く評価されます。
  • スキルアップ:簿記1級は、経理・財務分野における高度な知識や技能を身につけることができるため、スキルアップにつながります。

簿記1級の勉強時間はどのくらいかかりますか?

簿記1級に合格するには、500〜2,000時間の勉強が必要とされています。

随分と幅がありますが、知識や経験の差があるからです。

この記事を書いた人

CPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

ライターCPAラーニング編集部

簿記・会計をこよなく愛するCPAラーニングコラムの編集部です。簿記検定に合格するためのポイントや経理・会計の実務的なコラムまで皆様に役立つ情報を提供していきます。

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