「簿記」とは、会社において経済活動を行う結果として、お金の出入りを記録する方法です。この作業は、会社の規模にかかわらず、すべての会社において必要な作業です。
日々の取引を帳簿に記入していくことで、損益計算書や貸借対照表の作成を経て、最終的には決算書を作ります。つまり、簿記を理解するということは、ビジネスにおいて非常に重要なスキルといえます。
簿記の理解度を測定する方法として、日本商工会議所の簿記検定試験があります。
この記事では、3級から1級まである試験の中から「簿記2級」について説明します。
どのような試験なのか、合格のためには何をすればいいのかなどについて解説します。
また以下の記事では、簿記2級の基本的な試験情報について解説しています。簿記2級とはどのような資格か知りたい方、もう一度確認したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
簿記2級はどんな資格?必要な勉強時間や合格率、勉強方法も紹介
目次
簿記2級について知ろう
簿記2級に関して、試験の主催者である日本商工会議所は、以下のように説明しています。
・経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ
・高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を習得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル
要約すると「簿記2級のレベルは、必要な財務諸表の数字を論理的に理解することができ、その有資格者は企業の経営管理に役立つ知識保有者として最も求められる」ということです。
では、具体的に見ていきましょう。
合格率
過去4回の合格率(統一試験:ペーパーテスト)は、下表のとおり単純平均で22.5%です。
実施年月 | 合格率(%) |
2023.2 | 24.8 |
2022.11 | 20.9 |
2022.6 | 26.9 |
2022.2 | 17.5 |
過去4回の平均 | 22.5 |
10人に2〜3人の合格のため、難易度は高めです。100点満点で70点以上が合格となりますが、試験回ごとの難易度調整はしておりません。したがって、難しい試験内容の回の合格率は、低くなる傾向があります。
2020年から始まったネット試験の過去2年間の合格率は、37.1%、38.1%で、単純平均で37.6%です。
「統一試験とネット試験の難易度は同じ」という主催者の見解がありますので、ネット試験が有利という訳ではありません。差異の原因はよくわかっていませんが、いずれ両者の合格率は収れんしていくでしょう。
簿記3級との違い
簿記2級と3級の違いについて見ていきます。
<合格率>
簿記2級の合格率は前節で述べたとおりです。3級の合格率はは30〜50%です。簿記の「入門テスト」といった位置づけのため、合格率もそれなりに高めです。
<試験範囲>
簿記3級の試験範囲は、商業簿記(基礎)から出題されます。
これに対し2級は、商業簿記(応用)3問、工業簿記(基礎)2問となっています。商業簿記の配点は60点、工業簿記が40点、合格点が70点以上なので、工業簿記からもちゃんと得点できないと合格はおぼつきません。
補足:工業簿記について
一般的な商店経営(物を仕入れて販売)の場合は、商業簿記のみで十分です。これが製造業(自社で原材料を仕入れて製造する)となると、工業簿記の範囲になります。
製品をつくるのにかかった材料費・燃料費・人件費などから「製造原価」を導き出す必要があります。製造業に携わったことがないと、なかなかイメージがしにくい分野です。
以下の記事では、簿記2級の難易度について詳細に解説しています。簿記2級の取得を考えている方は是非参考にしてみてください。
簿記2級の難易度とは?独学で合格可能なのか、合格率なども紹介
簿記2級の合格に必要な勉強時間
簿記2級の合格に必要な勉強時間です。どのくらい前から準備すればいいか、気になるところではありますよね。ただ、冷静に考えると、その人の基礎知識や現在の職業、必死さなどにより異なるだろうことは納得できます。
そこでネット検索により、みなさんはどのくらい必要と感じているか調べてみました。
- 200~250時間【TAC株式会社】
- 100~200時間【スタディング簿記講座】
- 250~350時間(簿記経験者)【ユーキャン】
- 200時間【Brush up学び】
- 250時間【フォーサイト簿記通信講座】
- 200時間【cpa learning】
中心値は250時間程度でしょうか。一日2時間学習するとして、約4カ月かかります。もちろん上記の各社比較は、基礎知識や経験、学習方法についてあまり考慮せず、機械的に並べたものです。
次節で詳しく述べますが、その人に合った学習方法を選択することで、学習効率が格段に向上する場合もあることが予想できます。
勉強方法によっても異なる
まずは「独学」を考えてみます。
独学のメリットは、何といっても費用が安いことです。通常は、テキストと問題集くらいの購入でしょうか。自分の生活時間に合わせて勉強を進められるのもメリットです。
デメリットは、進捗度合いが自分では確認できないことです。
次に「通信講座、予備校」を考えます。
メリットは何といっても、カリキュラムが整っていることです。これにより、自分の進捗度合が分かります。疑問点の質問もできるでしょう。
デメリットは、価格の高さや講義の時間帯に縛られることです。
ところで最近は(特に新型コロナウイルス以降は)オンライン教材の割合が増加してきています。
たとえば「独学+無料動画」「通信講座(動画教材付)」「予備校(対面・オンライン授業あり)」といずれの方法にしても、動画視聴は外せない学習方法になっています。動画を有効に利用することにより、以前(動画教材の無かった時代)よりも効率よく学習できるでしょう。
簿記2級に合格するためのポイント
簿記2級の試験に合格するための「勉強の概要」「アウトライン」について説明します。
具体的には、受験勉強にどのような姿勢で取り組むのが良いか、テキストはどのように選ぶべきか、試験までのスケジュールをどのように立てるかについて、順番に説明します。
強弱をつけて勉強する
「強弱をつけて勉強する」というのは、一定のリズムやテンポをもって勉強することです。たとえば、同じ速度で受験ノートを作ったり問題を解いたりするのではなく、一定のリズムやテンポで勉強することで、記憶に残りやすくするのです。
また、リズムやテンポをもって勉強すると「勉強に飽きにくい」という効果があります。簿記の勉強は、長期間に及びます。
前述の試算では4カ月の勉強期間としました。「鉄の意志」を持った人なら4カ月の間、集中力は継続するのかもしれませんが、多くの人にとってかなり難しいタスクです。よって、強弱をつけることで、集中力を途切らせないようにするのです。
合格への最重要項目は、「受験勉強を継続できること」です。知識の習得や試験会場でのアウトプット力ももちろん大事ですが「合格するまでやり続ける」ことが、一番大切です。結果として、強弱をつけて勉強することが役に立つでしょう。
自分が理解しやすいテキストを選ぶ
テキストの選び方です。
ネットで検索すると、「おすすめテキスト〇選」などというタイトルのページが、多数表示されます。おすすめの種類が多すぎて、選択の難易度が高くなり混乱します。
最近は、「ネットで調べて、そのままネット通販で購入」というスタイルが多いのですが、選択の難易度が高まるとどのテキストが良いのか、判断が付きません。
この世に良いテキストは複数ありますが、自分に合うかどうかは別問題です。どんなに多くの人が推薦しようとも、自分に合わなければひとつも価値はありません。
本屋さんが近くにある人は、実物を手に取って検討しましょう。自分の感性に合う一冊を選択したら、他のもの(問題集など)も同じシリーズでそろえるのが良いでしょう。ほかのシリーズに「浮気」するのは感心しませんし、学習効率が落ちる場合もあるでしょう。
試験日までのスケジュールを立てる
最近ではホームページに、「試験日、曜日ごとの勉強時間」などを入力すると、毎日の学習スケジュールを作成してくれるサイトがあります。このようなサイトを利用するのも、よいでしょう。
一方で「スケジュールの立案も受験勉強の一部である」という考え方もあります。つまり、学習すべき項目にはどのようなものがあり、理解するにはどのくらいの時間を要するのかを試験日から逆算して、どのように身に付けていくか、という風に考えてスケジュール表をつくる方法です。
ネット上には「合格体験記」をアップしている人がたくさんいます。これらの人々は、勉強方法以外にもスケジュールの立て方なども説明していますので、参考にするとよいでしょう。
簿記2級のおすすめの勉強方法
前章で「学習のアウトライン」について説明しました。今度は具体的な学習方法を説明します。試験勉強の具体的なノウハウを身に付けることによって、合格への距離がぐんと縮まります。
最初に、「知識のインプットに関する方法(参考書を何度も読む)」次に「試験会場で適切な回答を試験時間内にアウトプットする方法(問題集を繰り返し解く)」最後に「その他注意すべき事項(苦手分野をつくらない)」の順に解説します。
参考書を何度も読む
ネット上の学習記では、同じ参考書を3回繰り返して学びましょう、と説明されているケースが多いでしょう。
3回の内訳は、
- 簿記2級で学ぶべきことの全体像を確認する
- 仕訳、財務諸表、精算表、工業簿記仕訳、原価計算などの重要ポイントを理解する
- 理解できない部分を潰していく
また、商業簿記と工業簿記のどちらを先に手を付けるかの学習順ですが「工業簿記が先の方がいい」との見解が多いようです。これは、簿記2級の工業簿記は「基礎分野」なのに対し、商業簿記は「応用分野」である(つまり、難しい)からです。
以下の記事では、簿記2級のおすすめテキストを紹介しています。簿記2級を勉強しようと考えている方は是非参考にしてみてください。
簿記2級のおすすめテキスト15選!簿記2級の基本知識や勉強方法も
問題集を繰り返し解く
参考書と問題集は、交互に行うことにより、知識の定着・アウトプット力の強化を図ります。問題集で間違えた個所は、そのままにすることなく、理解できるまで繰り返し行いましょう。
問題集も繰り返し行いますが、こちらは3回程度でとどめます。参考書と異なり、問題集を複数回繰り返すと、その回答を覚えてしまうからです。簿記2級は暗記試験ではないため、問題集の答えを覚えても試験本番には何の役にも立ちません。
問題集に関しては、自分の問題集を3回実施したら、次は類似問題に移行して、アウトプット力を強化しましょう。
そのあとは過去問にチャレンジします。制限時間の90分で解き終わるのが望ましいのですが、最初は時間を超過しても、全問回答しましょう。これにより、問題の内容はもちろんのこと、本試験での時間配分も身に付けていきます。
過去問が時間内で対応できるようになったら、予想問題にも挑戦してみましょう。ここまでできれば、ほぼ万全です。
苦手分野をつくらない
苦手分野は、不思議なことに、本番に出題されます。つまり「苦手分野はつくらない」「苦手分野は事前に克服して、苦手分野を少なくしておく」というのがおすすめの対処方法です。
同じようなところで何度も間違えるのであれば、そこがあなたの苦手分野です。
「苦手分野は分かったけど、なぜか理解できない」「テキストを読み直しても、いまいち釈然としない」などの場合は、ひょっとしたら簿記3級の知識があやふやなのかもしれません(実際、簿記3級を70点で合格した人は、30%は理解できていない、ということになります)。
このような場合は、遠回りかもしれませんが、簿記3級のテキストを再度復習しましょう。
工業簿記の理解が進まないケースもよく見受けられます。この場合もやはり、簿記3級の知識不足が考えられます。
簿記2級は独学でも合格できる?
「簿記2級は独学でも合格できる?」
簡単ではありません。それは合格率からも明らかです。
さらに簡単でない理由を、以下に二つ提示します。
1.工業簿記が出題される
工業簿記は、簿記2級の試験勉強で初めて学ぶという人も多い分野です。製造業の経験がないと、そもそもさまざまな用語などが理解できないというケースもよくあることです。数学的に計算が必要なことも、苦手意識を高めるでしょう
2.試験内容の改定
最近、大きな改定が2度行われました。これにより、これまで簿記1級の範囲であった「連結会計」や「外貨建て取引」「リース取引」などが出題されるようになり、難易度が上がりました。
ただし、先ほども述べたように最近は動画を利用した学習教材がどんどん増えてきています。これまで独学といえば「家でテキストのみで学習」でしたが、無料動画などがどんどん利用できるようになっています。これらを有効に利用することで、合格率を上げることはもちろん可能でしょう。
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なぜCPAラーニングの簿記講座で合格できるのか
簿記の知識を正しく「理解」できる
「テキストの問題を何回も解いたのに、試験の問題は解くことができなかった。」
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まとめ
簿記2級の合格に必要な勉強時間や、おすすめの勉強方法を解説しました。
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